上流を先に拡幅して浸水被害増? 30年前に福知山市が区画整理事業した石原の大谷川、下流は川幅半分
京都府福知山市石原、JR石原駅から南側にある大谷川流域の一部住宅地で、2004年から18年までに床上浸水が3回発生している。被害に遭った男性は「30年ほど前に市の土地区画整理事業で、大谷川の上流のみ改修されたことで床上浸水が発生するようになった。早急に対策をしてほしい」と訴える。 6月に行われた福知山市長選挙後、両丹日日新聞社は「市長に望む」のコーナーを設け、市長や市政に向けた市民の意見を募り、紙面に掲載した。男性の声は寄せられた投稿の一つ。 河川改修は、下流から進めることが原則とされている。しかし、指摘のあった辺りは状況が違う。上流の山側からJR石原駅付近まで約700メートル区間では、一部の川幅がそれまでの2倍以上になっている。駅より下流域の川幅は変わっていない。 該当箇所は市が1993年に一帯約51ヘクタールで実施した「石原土地区画整理事業」の区域内。その中で府が管理する大谷川の改修が行われているが、区画整理区域から外れる下流域の川幅は手付かずで、不思議な形状となっている。 男性は「もともと田畑が広がる遊水地だったが、上流部のみ川幅が広がって下流部はそのままのため、川幅の狭くなっている所から、より多くの水があふれるようになっている」と指摘する。 市は当時、大谷川の河川改修費に9500万円を計上している。市都市交通課は「市も事業費を負担しているが、河川整備自体は府が実施している。事業実施にあたり、住民、府、市で事前に十分に協議してきた」と話す。府中丹西土木事務所は「市の区画整理に関連して事業を実施した箇所で、河川幅などは根拠を持って改修しているが、上流部から川幅を広げることになった詳細な経緯は不明」としている。 気候変動により雨の降り方が局地化・集中化・激甚化しており、以前より水害リスクは高くなっている。川幅が床上浸水の根本的な原因とまでは断定できないが、市道路河川課は「現地の状況は把握しており、府には改修を要望している」とする。 大谷川ではこれまで、石原駅北側の下流域で何度も浸水被害が発生しており、府は2015年度から河川全体の改修に着手。計画区間約3・6キロ、総事業費200億円以上をかけて前田の由良川との合流地点から、上流部に向かって川幅を広げるなどの改修に取り組んでいる。 現在は全体の約半分の地点、府道石原停車場戸田線の辺りまで工事が進んでおり、府土木事務所は「上流部に向けてかなりスピード感を持って改修をしており、順次、進めていきたい」と言う。