一夜明け会見に臨んだ井上尚弥（左）と大橋会長

　モンスターは前人未到の道を歩む。ボクシングの大橋ジムが4日、横浜市内で2大世界タイトルマッチの一夜明け会見を開いた。TJ・ドヘニー（37＝アイルランド）を7回TKOで破ってスーパーバンタム級4団体統一王座の防衛に成功した井上尚弥（31＝大橋）は、今後のチャレンジとして「フェザー級に上げるしかない」と日本人初の5階級制覇を挙げた。 　前日は守備的に来たドヘニーを若干攻めあぐねたが優位に試合を展開し、最後はドヘニーが腰の痛みを訴えて棄権という珍事で幕切れ。「フィニッシュとしては不完全燃焼」と振り返りながらも、「作戦通り。慎重に冷静にボクシングを徹底できた」と手応えも口にした。 　唐突な棄権に「日本に来て、高いファイトマネーもらって、倒されないで終わろうという考えであればさみしい」と話しつつ、同じく守備的な戦いに手こずった前々戦のマーロン・タパレス（フィリピン）戦と初回にダウンを喫しながらも、好戦的な相手を圧倒した前戦のルイス・ネリ（メキシコ）戦を引き合いに出し、「どっちを参考にするかと言えばタパレスでしょう」とドヘニーの戦法を考察した。 　また、前日計量から7・4キロと自身にしては大幅な増量もした。12キロ以上増量をしたこともあるドヘニーを意識しただけでなく、「残りのキャリアを逆算するとこのあたりなのかな」と、今後のフェザー級転向を見据えたものであることも明かした。 　次戦は12月に東京開催が予想され、来年には米国ラスベガスでのビッグマッチも計画されており、所属ジムの大橋秀行会長も「海外のいろんな選択肢もある。井上は前人未到の道を行くのが使命だと思う」とさらなる飛躍を期待。井上自身も「まだまだやれることがあるのであればやりたい。挑戦していくというか、何ができるか。フェザー級に上げるしかないんですよ。だから慎重にやっていきたい」との見通しを語った。 　以前は来年いっぱいは現級にとどまる考えを明かしていたが、現在は「1年半後、2年後の体は、その時にならないと分からない。2年たってもスーパーバンタムでできるならやる」と時期は定めていない。新たな歴史をつくる日はいつになるだろうか。