ボコ・ハラムと「イスラム国」の共通性は ナイジェリアでも進む「建国」 国際政治学者・六辻彰二
ボコ・ハラムの「国家」は拡大するか
ボコ・ハラムの脅威が広がるなか、ナイジェリア政府は国内で、対策が不十分と批判を集めてきました。6月に首都アブジャと最大都市ラゴスで相次いだ爆破テロ事件を、当初当局が「調理用ガスボンベの爆発」と虚偽の発表をしたことで、政府不信はさらに広がりました。 そんな中、10月17日にナイジェリア政府は、ボコ・ハラムとの間で「停戦と女子生徒200人以上の解放に関する合意」に達したと発表。しかし、11月2日にシュカウ容疑者は、女子生徒200人を「全員イスラムに改宗させたうえで結婚させた」と発表し、政府と合意した事実もないと全面否定。ナイジェリア政府がボコ・ハラムに対応できていないことだけでなく、自らの立場を守るための虚偽の発表をしていたことも明らかになったのです。 ナイジェリア軍の参謀長は10月9日の記者会見で、政府の保身や体面が軍の活動を妨げていると非難したうえで、「ボコ・ハラムはISと同じくらい危険」と述べ、米国などによる軍事行動がイラクとシリアに集中していることにも不満を表明しました。女子生徒が本当に全員「結婚させられた」かどうかは定かでありません。しかし、ナイジェリア政府の無策と国際的な関心の低下が進むなか、ボコ・ハラムの「カリフ制国家」が拡大する危険性は大きく、その場合には同様の事件が近隣一帯に広がることが懸念されるのです。