あこがれのコンサルに未経験で転職→「大活躍する人」と「お荷物になって絶望する人」の決定的な違い
そうした具体的な知見を持った上で、「世界的にはどんなプレイヤーがいて、注目の金融ベンチャーはどこで、どんな企業が成功しているのか」といった点を調査しておくと、上司にアサインされやすい。「元銀行マンの○○さんは金融業界の動向に精通しているし、最新トレンドも把握している。今回の『IT企業の金融事業参入』を支援する案件では、ぜひ力を借りたい」といった具合である。 そうした経験を積み重ね、ゆくゆくは「金融業界のプロジェクトを任せるならこの人」と言われるほどのスペシャリストになればいいのだ。このように、組織内での立ち位置を客観的に分析し、自分ならではの強みを発揮することで、上司の信頼を勝ち取れる人は成功できる。 ● 「チャーミングな人」が愛される!? コンサルファームの意外な実態 次に2つ目。ちょっと意外かもしれないが、コンサル業界では社内外でかわいがられる人間力を「チャーム (Charm)」と呼び、れっきとしたスキルとして重要視している。 異業種から転身した人が活躍できるか否かは、このチャームがカギとなる。と言っても、伝統的な日本企業で高評価されるような、謙虚でおとなしく、上司の言う事を何でも「はい!(Yes,Sir!)」と聞く人が「チャームのある人」ではない。 オンオフのメリハリが利いていて、人の話をしっかりと聞きつつも、自分の意見をはっきり伝えられる人。年齢が若ければ、多少の困難を乗り越えられる元気やバイタリティがある人。これらがコンサルファームで好かれる条件になる。 何しろ、社内で自分を売り込み、上司に自分を気に入ってもらえなければ、プロジェクトにアサインしてもらえないのだ。これを踏まえて、周囲に「この人を仲間に加えたい」と思ってもらえるような立ち居振る舞いをすべきなのは自明である。 なお、コンサルファームでパートナーになる人はすべからく頭もいいが、人間として魅力のある人が多い。採用面接を通じて「こんな風になってみたい」という人に出会えれば、入社後はその人物を徹底マークして学ぶことをおすすめしたい。 最後に3つ目だ。本連載の前回記事(※)で、筆者は「コンサルには自分のプロジェクトや部署にしか興味がない人が多い」と記載した。それとは少々矛盾するようだが、コンサル未経験で中途入社した人材が社内で上り詰めようとすると、自分のことだけやっているようでは不十分だ。 ※詳細は『コンサル→事業会社の転職後、「すぐに活躍できる人」と「ずっとイマイチな人」の3つの違いとは?』を参照。 たとえ自分のプロジェクトとは直接関係がなくても、新卒や中途採用を手伝ったり、メディアに出て自社の成果を広くアピールしたり、書籍を書いたりなど、会社自体の価値創出に貢献する人間が、最終的に社内の出世を登っていくことになる。 この際、社員の代表として採用に携わったり、メディア出演や書籍執筆を手掛けたりする上では、当然ながら(1)で示した専門性も必要になる。だからこそ、早い段階から自分の目指すべきゴールを設定しておき、そこから逆算して強みを磨く必要があるのだ。
● 「自分よりも頭のいい人」がいることを 覚悟して戦略を練るべきだ コンサル未経験にもかかわらず、中途採用を突破できる人は、前職ではそれなりに活躍していたのだろう。だが入社後は、「自分よりも頭のいい人が当たり前にいる」ことを覚悟しておかねばならない。繰り返しになるが、その中で勝ち残っていくためには、本記事で述べた「3つの要素」を意識して戦略を練る必要がある。 事業会社からコンサルに転職して活躍している知人がいれば、アドバイスを求めてみるのも手だ。これらのメソッドが、「コンサルファームに転職して活躍する」という夢を叶える近道になれば幸いである。
森 泰一郎