ユースみちのくダービーは互いに譲らずドロー決着。仙台ユース、山形ユース共にプレーオフ出場に前進
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 東北第13節は9月7日に4試合行われ、8日に1試合だけスポーツ山形21石鳥居グラウンドで行われたのは、モンテディオ山形ユースとベガルタ仙台ユースがぶつかるユースみちのくダービーだった。 【フォトギャラリー】聖和学園 vs ベガルタ仙台ユース 山形ユースは内山俊彦前監督のJ3福島ユナイテッドFCヘッドコーチ就任に伴い、今季から秋葉勝監督が就任。リーグ前半戦は新たな戦術が浸透しきらず苦しんだが、徐々に調子を上げ、試合前の時点で4位と、プレミアリーグプレーオフ出場権獲得の可能性が出てきた。一方の前半戦好調で首位を走ってきた仙台ユースも7月31日、木谷公亮前監督がサガン鳥栖テクニカルダイレクター(その後監督に就任)就任のため退任し、約10年間仙台ユースで指導し、ヘッドコーチから昇格の安川洋介監督が8月1日就任。就任初戦の前節聖和学園高戦は6-0と圧勝し、幸先良いスタートを切ったばかりだ。 前半は山形ユースが押し気味に試合を進めた。MF永井英次(3年)が積極的に右サイドから仕掛けて、長身FW井上椋太郎(3年)がよくボールをおさめて、前半だけで10本のシュートを放つなど首位の仙台ユースを攻め立てた。しかし防戦となった仙台ユースもDF一色竜二(3年)、似内久穏(2年)が体を張った守備を見せ、GK室井陸杜(3年)がファインセーブを連発し、ゴールを許さなかった。 そんな中先制したのは仙台ユースだった。42分、CKのチャンスを得ると、「(里)頼都君から結構良いボールが入って、(一色)竜二君も(競り合いに)強くて、そこから浅尾(椋太郎)に渡って、浅尾も僕のところを見てくれたので、ゴール前で僕がフリーになった後、頭で入れるだけでした」と振り返った通り、MF里頼都(3年)のCKを一色がヘディングで落とし、こぼれ球を拾ったMF浅尾涼太朗(2年)からの浮き球パスを受けた似内がヘディングシュートを決めた。前半は苦しみながらも仙台ユースが1点リードで終えた。 後半は逆に仙台ユースが攻める展開となるが、山形ユースは60分MF半澤光琉(3年)のCKから「ファーサイドに良いボールが来たので、椋太郎のところへ行って体、お腹で押し込みました」とDF三浦隼太(3年)が体ごとボールをゴールへ押し込み、同点に追いついた。 追いつきたい仙台ユースは直後に、負傷のため7月の日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会に出場できなかったFW古屋歩夢(2年)を投入。古屋は馬力のあるドリブルから次々と決定機をつくりポストにあたる惜しいシュートもあり、流れをさらに仙台ユースへと傾けさせる。さらに72分にはやはり6月末から負傷し、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会に出場できなかったFW齋藤俊輔(3年)を投入。ケガ明けの復帰戦となった2人のパワーで押し気味に試合を進めたが、山形ユースもU-15日本代表GK佐藤陸斗(1年)が確実なシュートストップを見せてゴールを許さない。終盤山形ユースは宮城県登米市のエスペランサ登米FC出身で、トップDF千葉虎士の後輩に当たる長身FW黒田ヨハン(2年)が強烈なヘディングシュートを2発放ったがゴールはならず。互いに果敢にゴールに向かい続けた激闘は1-1の引き分けに終わった。勝点28とした仙台ユースは勝点30の青森山田セカンドに首位を譲り、2位に後退したが、プレミアリーグプレーオフ出場権獲得決定にまた一歩前進。勝点19とした山形ユースも勝点20の尚志高セカンドと入れ替わり5位に後退したが、プレーオフ出場圏内で勝点22の3位聖和学園との勝点差が3に縮まり、プレーオフ出場に望みをつなぐ結果となった。 山形ユースは前半戦は新監督就任後間もなかったこともあり、なかなか結果につながらなかったが、この日はDFラインから丁寧にビルドアップし、ボランチのMF岩崎涼馬(3年)やMF古川雅矩(3年)もそうしたパス回しに関わりながら、前掛かりとなった仙台ユースの空けたスペースを再三突いて特に前半は優位に試合を運んだ。秋葉監督の戦術が浸透してきていることを感じさせる内容で、FW水戸部東次(2年)やDF菅原大幹(3年)の不在を感じさせなかった。「全国の強豪とやらせていただいて、基準を知ることができました。日々のトレーニングでもちょっとずつ基準が高まってきています。前半は狙いを持って自分たちでボールを動かしながら攻撃できました」と秋葉監督もチームの完成度が高まってきている手応えを感じていた。 プレーオフ出場に向けて秋葉監督は「聖和とはまだ勝点差がありますし、(8位の)ブラウブリッツ秋田U-18までは勝点4差の中にあるので、どうなるか分かりません」とまだ残留争いに飲み込まれる可能性もあると慎重に捉えつつ「一つでも上の順位に行くために、一つ一つ大事に戦いたい」とまずは目の前の一戦必勝で、目標に到達しようとしている。