防災キャンプ(8月23日)
列島が身構えたお盆休みだった。西日本では南海トラフ地震の臨時情報が発表され、にぎわうはずの砂浜は人影がまばらに。東北や関東では大型台風の襲来に、旅行や帰省の予定変更が相次いだ▼地震や豪雨が多発しているのに、万が一への備えは進んでいないようだ。ある調査会社が今月、3千人の意識を調べたところ「備えができていない」は47%で、「できている」の17%の3倍近くに達した。何をどの程度用意すべきか分からず、準備をつい先延ばしにしている人が多いという▼被災を疑似体験する防災キャンプが注目を集めている。キャンプ場や避難所などに宿泊し、ブルーシートを張ったテントで雨風をしのぐ。火をおこして低体温症を防ぐ。楽しみながら生き抜く力を養えるプログラムが好評らしい。福島市吉井田学習センターでも、夏休み期間中に催された。地元の児童が1泊してロープ結びを習得した。牛乳パックの皿作り、空き缶を利用した炊飯にも挑戦した▼処暑を越えても熱波は続き、天災への警戒は怠れない。一分一秒の判断の迷いが運命を左右する場合もある。「備えあれば憂いなし」に日頃の実践を加えた令和の防災術をアウトドアで学ぶ。<2024・8・23>