亡き先輩に誓った“覚悟の移籍”…男子バレー高橋健太郎「優勝してまた報告しに行く」愛する家族とも離れて単身赴任「毎日テレビ電話で泣いてる」
多くのバレーボーラーが特別な想いで臨んだ「大同生命SV.LEAGUE」の開幕。本稿では、日本代表としてパリ五輪を戦い抜いたミドルブロッカーたちの“その後”を追った。第3回は報道陣の前で“代表引退”を宣言した高橋健太郎(29歳)のインタビュー。【全3回/山内晶大編、小野寺太志編に続く】 【秘蔵写真】「毎日テレビ電話で泣いてる…」超ほっこりパパ健太郎の姿…コートとは違う“家族思いの大きなお父さん”を見る!「仲良すぎなミドルトリオ」「涙が止まらない高橋藍」「ブランの前で子供のように泣く西田」も全部見る(200枚超) 10月19日に、エントリオで行われたジェイテクトSTINGS愛知対ウルフドッグス名古屋の愛知ダービー。5本のブロック得点で勝利に貢献したはずのジェイテクト高橋健太郎は、試合後の記者会見で首を傾げた。 「まだ迷いがあって、モヤモヤを抱えているんです。自分に期待されるのはブロックだし、まずはそこ、という責任。果たさなければダメだという重圧もあるけど、僕は職人気質な部分もあって、ハマらないとダメだからまだまだ、納得いかないんです」 そのコメントを左隣で聞いていたのはリベロの小川智大だ。笑いながらカットインする。 「健太郎さん、設定が高いんですよ。練習でもめちゃくちゃいいブロックして、タッチを取っているし、試合でもこれだけ決めているのに全然満足しない。僕らからすれば、ただただすごいだけです」 そう? できてる? と小声で小川に聞き返す様子を、セッターの関田誠大が微笑ましく見つめる。 新天地で迎えたSVリーグ元年、「笑われてもお構いなし」と高橋が意気込んだ。 「プロとしてやる以上は、結果がすべてなので。責任を果たして、やらなければならない位置づけを明確にして、しっかりプレーしたいです」
プロ選手になり、新天地へ移籍
今季、高橋は東レアローズ静岡からジェイテクトへ移籍し、プロ選手になった。これまで以上に、一人の選手としても、チームとしても「結果を求める」シーズンになる。だが、問題が一つだけ。 「家族と離れて生活しているので。僕、家族がいないと無理だからそれは本当につらい。でもそうしてでも頑張ると決めた以上は、ほんと、やらないと」 来年2月で30歳になるミドルブロッカーは、新たなステージを見据えていた。 高橋のバレー人生を振り返る時、常に転機となってきたのが「五輪」だった。 高校入学を機に本格的にバレーボールを始めた頃から、夢は「東京五輪出場」。オリンピック選手になれば人生が変わると邁進してきたが、12名には選考されず落選した。「すべて失った」と現役引退も考えたが、妻の「このまま辞めたら絶対に後悔する」という言葉に後押しされ、パリ五輪に向け再起を誓った。 相次ぐケガに不安視されることもあったが、日本選手の中で高橋を超えるブロック力と身体能力を備える選手はいない。ようやく念願の五輪出場が決まると、妻子だけでなく故郷・山形の家族も大喜びで祝ってくれた。夢が現実になったことを高橋が噛みしめたのは、地元で開催される壮行会へ向かう前、日本代表の公式ウェアを手渡された時だったと振り返る。 「東京(五輪)の時も採寸して、公式用の写真撮影もしたけど選ばれなかった。だから本物のウェアを手にした時、本当にオリンピックに出られるんだ、って。山形で、近所の人が集まって、僕が悪ガキだった頃を知っている人たちも当時を忘れて『本当に偉くなって』と万歳三唱をしてくれたのも嬉しかったですけど(笑)、ウェアをもらった時が一番、オリンピックを実感しました」 パリの選手村に入村する瞬間も胸が高鳴った。気持ちがいっそう昂ぶる中、最も感極まったと振り返るのが初戦での国歌斉唱だった。 「純粋にスポーツを楽しみに来ているお客さんがたくさんいて、オリンピックマークがある。それだけで感動したし、君が代の高揚感。いろんな感情が混ざって、興奮して、気づいたら泣いていました」
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