田中敦子さんは“戦う女”の代名詞を作った 『攻殻機動隊』草薙素子など数々の功績を振り返る
その声は、誰かを導く声だった
「戦う女」と並んで、彼女のキャリアにとって重要なのは、「誰かを導く人」ではないかと思う。導く人には見守る人なども含めてもいいだろう。 あの声から発せられる言葉には、信じるに足ると思わせる力があった。同じセリフでも演じる人によってその説得力が変わる。彼女の教えを聞いていれば間違いない、不思議とそんな気持ちにさせるのだ。 『ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流』のリサリサ、最近では『葬送のフリーレン』のフランメなどがすぐに思い浮かぶ。厳しくも温かく、誰かを導く役がなぜこんなにもハマるのだろうか。それは彼女のクールな声に温度が宿る瞬間の優しさだ。 アニメの中でも、またその長いキャリアでも、田中さんは素晴らしい芝居で、多くの人を導いてきただろう。彼女の声に出会えたこと、同じ声優業の方にとってはもちろん、多くのアニメファン・映画ファンにとってもかけがえのないことだった。 お疲れ様でした。数々の名演技は決して忘れたくても忘れることはないでしょう。僕自身、田中さんの芝居に導かれるように、アニメについて書く仕事をしている気がします。 ※ https://originalnews.nico/395162/
杉本穂高