チェジュ航空機事故で韓国警察が「日本によるテロ」と捜査?まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
韓国の務安(ムアン)国際空港で起きたチェジュ航空機事故をめぐり、「韓国警察が日本によるテロの可能性があるとして捜査」という情報が拡散しましたが、誤りです。見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。韓国法務部(日本の法務省に相当)に日本の実在する弁護士をかたった爆破予告が届き、警察が捜査に乗り出したという報道はありますが、チェジュ航空機の事故を日本によるテロとして捜査しているわけではありません。
検証対象
2024年12月31日、複数のまとめサイトで「【速報】済州航空事故 韓国警察が日本によるテロの可能性があるとして総力を上げて捜査開始」との記事が配信された。まとめサイトや一般ユーザーがXで記事へのリンクを共有して拡散した例もある。 「都合の悪いものは全て日本のせいにする 自分らの設備と安全管理の杜撰さを認めなくないだけ」「流石、韓国人だな。魔女裁判じみた事をまだ信じてるとは。他責思考の極み」などのコメントが寄せられる一方で、「現地のニュース内容そうじゃない」といった指摘もある。
検証過程
務安国際空港で発生したチェジュ航空機の炎上事故 2024年12月29日午前9時ごろ、タイ・バンコクを出発し、韓国南西部・務安(ムアン)国際空港に向かっていた韓国の格安航空会社(LCC)「チェジュ航空」のボーイング737型機が務安空港で胴体着陸。機体は滑走路近くの構造物に衝突して炎上し、搭乗していた乗客175人と乗員6人の計181人のうち179人の死亡が確認された(NHK)。 事故の原因として着陸直前の鳥との衝突(バードストライク)が疑われるほか、務安空港の滑走路の近くにあった「計器着陸装置」の構造を問題視する指摘もある(中央日報、読売新聞)。
まとめサイトと添付記事の内容が不一致
検証対象は複数のまとめサイトの記事だ。どの記事もタイトルは掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「【速報】済州航空事故 韓国警察が日本によるテロの可能性があるとして総力を上げて捜査開始」から取り、韓国のポータルサイト「NAVER」で2024年12月30日に掲載されたソウル新聞の記事「“제주항공 사고, 우리 소행…31일 밤에도 폭탄” 테러 예고에 경찰 수사(『チェジュ航空事故は我々の犯行…31日夜にも爆破』テロ予告を警察が捜査)」が引用元だとしている。 ソウル新聞の記事によれば、2024年12月30日朝に韓国法務部へ、チェジュ航空機事故を自身が起こしたと示唆して「31日夜に韓国の複数の場所で高性能爆弾を爆発させる」との内容が含まれた、「カラサワ・タカヒロ」を名乗る者による日本語と英語のメールが届いた。2024年8月にも同じ名前を用いた爆破予告があり、ソウル警察庁は同一犯の可能性も含めて捜査するとともに、不特定多数が集まる施設でのパトロールを強化しているという。 記事には「日本人を名乗る爆破予告が法務部に届き、警察が捜査している」と書かれているが、チェジュ航空機の事故を「日本によるテロの可能性で捜査している」とは書いていない。