南海トラフ巨大地震 観測データに特段の変化なしも「発生の可能性は非常に高い」 強い揺れと津波の備え続けて 気象庁
気象庁は、南海トラフでの巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、特に目立った地震活動はなかったことなどから、「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。 ▼311東北から能登へ伝えたい… 「一緒に前を向いて生きたい」 “釜石の奇跡”を葛藤とともに伝える26歳 気象庁は、今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域でおきた地震や、研究機関の観測データの分析を行いました。 気象庁によりますと、先月1日から今月5日までの期間に南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺では、マグニチュード3.5以上の地震が5回発生したということです。 ▼先月6日 日向灘を震源とするマグニチュード3.9の地震 宮崎県で最大震度2を観測 ▼先月7日 和歌山県北部を震源とするマグニチュード4.1の地震 和歌山県で最大震度4を観測 ▼先月21日 愛媛県南予を震源とするマグニチュード3.9の地震 愛媛県と高知県で最大震度3を観測 ▼先月26日 伊予灘を震源とするマグニチュード5.1の地震 愛媛県と広島県で最大震度4を観測 ▼先月29日 日向灘を震源とするマグニチュード3.5の地震 震度1以上の観測無し これらの地震は、いずれも、フィリピン海プレートの内部や地殻内で発生した地震で、南海トラフ巨大地震で想定されるプレート境界の地震とはメカニズムが異なるほか、地震の規模が小さいことから、検討会は、南海トラフ巨大地震に大きな影響はないとして「特に目立った地震活動ではない」と評価しました。 一方、静岡県御前崎などで長期的に観測されている地盤の沈降は、フィリピン海プレートの沈み込みに伴うもので、その傾向に大きな変化はないということです。 検討会は、こうした観測結果を総合的に判断し、南海トラフ周辺で「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。 評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、フィリピン海プレートと陸のプレートの固着状態に変化はないとした一方で、南海トラフ沿いで大規模な地震がおきる可能性が非常に高いことに変わりはなく、「なんの前触れもなく地震はおこるため、地震と津波への備えを続けてほしい」と呼びかけました。