ジープ・アベンジャー衝突試験で “微妙” な評価 「安全性をケチるな」ユーロNCAPが苦言 スバル・クロストレックは5つ星
欧州の安全性評価でステランティスに「指摘」
欧州の自動車安全性能評価機関であるユーロNCAPは9月11日、スバル・クロストレック、アウディQ6 eトロン、ルノー・キャプチャーなど、新たに実施した8車種のテスト結果を公開した。 【写真】欧州でも「安全性能」に定評あるスバル【新型クロストレック(英国仕様)を写真で見る】 (23枚) その中で、コンパクトSUVのジープ・アベンジャーは「平凡」な3つ星評価となった。側面衝突における10歳の後席乗員(子供)の保護性能や自動緊急ブレーキ・システムの応答性で低い評価を受けたほか、子供の車内置き去り検知システムがないことも指摘された。 一方、総合的な乗員保護性能では成人が79%、子供が70%と高得点を獲得した。 こうした結果を受け、ユーロNCAPのミヒャエル・ファン・ラティンゲン事務局長は、ジープの「明確な意欲の欠如」が示されていると述べた。 「自動車業界では競争が激化しており、(ジープの親会社)ステランティスは自社ブランドの将来を確保するためにいくつかの措置を講じなければならなかった。しかし、安全性において節約を図ってはならない」 「ユーロNCAPは、欧州の自動車購入者のために、この分野の欠点を引き続き指摘していく」 これに対してステランティスは声明を発表し、次のように述べた。 「当社は、世界中の厳しい規制を満たす製品で、お客様にクリーンで安全かつ手頃な価格のモビリティを提供することに専念している」 「当社は新世代の自動車の安全性向上に努めている。継続的な製品改善努力の一環として、第三者機関による新たな評価を検討し、技術的解決策をエンジニアリング・プロセスに採り入れている」 「ステランティスは、車両の安全性を測定する方法は1つではないと信じている。第三者の評価は、車両の安全性を設計する際に使用される多くのインプットの1つだ」 ユーロNCAPは昨年、子供の置き去り検知システム、水没に対する基準、交通弱者の認識機能など、試験内容および評価方法をアップデートした。自動車メーカーにとっては、以前に増して厳しいものとなっている。 そんな中、ルノー・キャプチャーとルノー・シンビオズは4つ星、アウディQ6 eトロン、フォード・エクスプローラー、シャオペンG6、スバル・クロストレック、スバル・インプレッサは5つ星を獲得した。 上記についてラティンゲン事務局長は、「ルノーは安全性の歴史に誇りを持つブランドであり、5つ星を獲得した最初の自動車メーカーの1つである。シンビオズとキャプチャーが4つ星を獲得したことは確かな印象を与えたものの、ルノーがもはやトップの座を目指していないことを示している。一方、アウディ、フォード、スバル、シャオペンは、高い安全性への意欲を維持している。ユーロNCAPは、彼らが5つ星を獲得し、他の追随を許さない基準を作り続けていることを祝福する」と述べた。 スバル・クロストレックは、スモール・ファミリー・カー(Small Family Car)というクラスに分類され、乗員保護性能では成人が83%、子供が90%と高得点を与えられた。歩行者など交通弱者に対する保護性能は85%、安全支援システムは72%となった。 スバル・インプレッサも交通弱者の保護性能(84%)を除いてほぼ同じ結果となった。 この2台についてユーロNCAPは、「スバル・クロストレックとスバル・インプレッサは、ほぼ同じ構造を共有しており、保護性能も非常に近いレベルにある。今回の評価では、前面オフセットおよび側面試験と交通弱者に対するサブシステム試験を除き、ほとんどの試験をクロストレックで実施した」とコメントした。
チャーリー・マーティン(執筆) 林汰久也(翻訳)