1ドル155円台まで円安が進行:日銀の金融政策決定会合後に為替介入はあるか
1ドル155円台まで円安が進む
24日の日本時間夜に、ドル円レートは1ドル155円台まで円安が進んだ。1990年6月以来、約34年ぶりの安値を更新した。 25日朝の東京市場は155円20銭~40銭台で推移している。4月10日に1ドル152円の節目を超えた際には、同日中に一気に1円以上円安が進んだことと比べると、足もとの円安の動きはやや鈍い。 政府による為替介入実施への警戒が背景にあることは疑いないが、25・26日に日本銀行の金融政策決定会合が予定されており、それが為替を大きく動かす可能性があるため、市場は様子見姿勢を強めているのだろう。
為替介入の実施は近づいている
1ドル152円に加え、1ドル155円という2つ目の防衛ラインを超えて円安が進んでもなお、政府は為替介入に踏み切っていない。しかし介入実施はかなり近づいているのではないか。鈴木財務大臣が23日の参院財政金融委員会で示した「環境は整った」との発言は、それを示しているだろう。 鈴木財務相は、先週ワシントンで開かれた日米韓財務相会議、G7会合、G20会合で「円安への懸念を共有することができたのは一つの成果」と評価し、さらに、「日本側から為替相場の行き過ぎた動きに適切な対応を取る考えも表明した」とした。そのうえで、介入を念頭に「環境が整ったのかということについては、そう捉えられてもいい」とかなり踏み込んだ発言をしている。為替介入の実施について、米国など他国から了解を得て、地均しはできたとのニュアンスの発言だ。
再び日銀決定会合の日に為替介入実施も
2022年9月に政府が円買いドル売りの為替介入に踏み切ったのは、日本銀行が決定会合を開催した日だった。日本銀行が引き締め方向の政策変更の見送りを決めたことに加え、会合後の記者会見での黒田前総裁の発言が円安を容認したものと受け止められ、為替市場で円安が進んだ。それを受けて政府は、為替介入に踏み切ったのである。 今回も日本銀行の決定会合をきっかけに円安が一段と進み、政府が同日に為替介入に踏み切ることが警戒されている。為替市場は市場実勢に任せるべきとの考えが強い米国は、日本の為替介入を快く思ってはいない。さらに、日本政府が日本銀行を通じて米国市場で為替介入を行うことは、他人に自分の庭を荒らされる感覚であり、反発を持っている。この点から、政府は、できれば日本市場で為替介入を行いたいと考えているだろう。 ドル円レートは米国側の要因で動くことが多いが、日本銀行の決定会合は、為替市場を動かす日本側の要因としては数少ないものの一つであり、政府はこの機会を逃さずに、為替介入に踏み切ることを狙っている可能性は考えられるところだ。