「有機大富豪」「熱力学ワーカーズ」…東大生が開発したアナログなカードゲームが話題
理系東大生が開発したアナログなカードゲームが話題です。手持ちのカードを見ながらフラスコ形の駒を進める「有機大富豪」、場に出されたカードを見て自分のカードを素早く出す「素数スピード」、等積変化と等圧変化によって駒がマス上を動く「熱力学ワーカーズ」。遊びながら理系の学習ができ、文系の人でも楽しく遊べるゲームです。あえてアナログな紙のカードゲームにすることで、受け身ではなく、頭を使って考える面白さを追求しました。開発者の2人に話を聞きました。 【写真】東大生が開発した「有機大富豪」
「まずベンゼンスルホン酸に、手持ちの水酸化ナトリウムを反応させて、ベンゼンスルホン酸ナトリウムを作ります」 「続いて僕は水酸化ナトリウムでアルカリ融解して、ナトリウムフェノキシドに……」 こう聞くとまるで化学の授業のようですが、さにあらず。東大生が作ったボードゲーム「有機大富豪」をプレー中の一コマです。フラスコ形の駒を、手持ちのカードで反応させながら進めていくゲームは一見難しそうですが、ルールを覚えてしまえば化学記号などの知識があまりない文系の人や子どもでも十分楽しめるうえ、化学の知識も身につくという「お得なゲーム」です。 実演してくれたのは、このゲームを発売する「EXPlayin」の2人。代表を務める東京大学大学院工学系研究科の新井一希さんと、東京大学工学部システム創成学科4年の柳本紘希さんです。立命館大学大学院情報理工学研究科の堀江孝文さんと3人でEXPlayinを運営、これまでに「rikeigames」と名付けたゲームのシリーズ3点を世に送り出してきました。 EXPlayinの始まりは、この「有機大富豪」というゲームでした。 駒を動かすボードに描かれているのは、受験生が覚えなくてはいけない化学反応の連鎖を表したマップです。でも新井さんは受験生だったときに、これがなかなか覚えられませんでした。高校時代の塾の授業中、化学の教科書で反応系統図をじーっと見ていたときに、「これはゲームになるのでは?」と思いつきました。カードを使って反応を連鎖して、駒がマップの上を動き回るゲームのアイデアを思いつきました。 急いで家に帰って画用紙でカードを作り、試作品を完成。翌日、友達と実際に遊んでみたら、「面白い!」と好評を得ました。