「Jリーグのファーム化」大学サッカーの大問題(2)驚いた「何もない」スタジアム、「組まれなかった」首都圏の試合、聖地の試合「激減」で大不評
日本サッカー界において、もはや欠かせない「選手育成機関」となっている大学サッカー。今年のJリーグMVPの武藤嘉紀はもちろん、現役の日本代表メンバーも、三笘薫や上田綺世、谷口彰悟、守田英正、伊東純也、旗手玲央…と、挙げるとキリがないほどだ。大学サッカーを「Jリーグのファーム」と呼ぶサッカージャーナリスト後藤健生が、先日、観戦した第73回全日本大学選手権大会(インカレ)の状況を踏まえ、大学サッカーの「問題点」をズバリ指摘する! ■【画像】「美が溢れてる」日本代表・堂安律の美人妻、1泊8万円超パリ高級ホテル滞在ショット公開「ぐぅなホテルやった」スラリ美脚の超セレブ近影に「見惚れてます」の声
■「アナウンス」も「ボード」もなし
さて、寒さも強風も12月下旬なのだから仕方のないことだし、試合もそれなりに楽しめた。 だが、驚いたのは準々決勝の会場には場内アナウンスもなく、場内時計もなく、さらにスコアボードすらもなかったことだ。もちろん、地方の小さな会場だから大型映像装置などあるはずはないが、バックスタンドには木製の(数字のプレートを懸ける形式の)があったのに使われていなかったのだ。 もし、途中で来場したとしたら、誰かに訊かなくては時間もスコアも分からないわけである。そして、メンバー紹介もないから、ネットなどを使ってメンバーを調べるしかない(または、1冊2500円のプログラムを購入するか……)。 運営として、これはあまりにも不親切なのではないだろうか? 観客数は第1試合が178人、第2試合が415人と発表されたが、まあ、多くが大学関係者だろうし、追っかけのファンもいた。しかし、中にはふだんは大学サッカーを見慣れない地元のお客さんもいたはずだ。もう少し、観客に親切な運営をしてもいいのではないだろうか? そもそも、今年の大会は最初の「予選ラウンド」という試合しか、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)では試合がなかったのだ。 今年のインカレは、これまでにはない新形式で行われた。まず、それをご紹介しておこう。
■納得感の低い「レギュレーション」
今年の大会には全国の地域リーグから28チームが参加した。そのうち、シードされた6校と「強化ラウンド」行きが決まっていた2校以外の20校が「予選ラウンド」を戦った。その1試合の「予選ラウンド」で勝ったほうが、6つのシード校とともに「決勝ラウンド」に進み、4チームずつの4グループに分かれ、各組上位2チームが準々決勝に進むのだ。 一方、「予選ラウンド」で敗れた10校と、予め決まっている2校が「強化ラウンド」に回り、グループリーグと準決勝、決勝を行う。 つまり、「決勝ラウンド」が上位リーグ、「強化ラウンド」が下位リーグということになる。多くのチームに多くの試合機会を与えようということのようだが、たった1試合の結果で「上位」と「下位」を分けてしまうのは、ちょっとおかしなレギュレーションのような気もする。上位リーグと下位リーグは、リーグ戦の戦績によって分けたほうが納得感が高いのではないか。 その「予選ラウンド」では東京の味の素フィールド西が丘やAGFフィールドも使用されたのだが、その後は「強化ラウンド」は茨城県のひたちなか市と水戸市。「決勝ラウンド」のグループリーグは栃木県、岐阜市、大阪府四条畷市、福岡県北九州市で開催され、準々決勝以降は栃木県の3会場が使用された(準決勝、決勝は宇都宮市グリーンスタジアム)。 全日本大学連盟で最も加盟校が多いのはもちろん関東地方。そして、関東の中でも多くの大学が集中しているのが東京都、神奈川県だ。従って、大学サッカー・ファンも首都圏に多い。 だが、今年のインカレは首都圏では試合が(「予選ラウンド」を除いて)組まれていなかった。やはり、観客動員のためにも、大会の権威付けのためにも、せめて決勝戦くらいは首都圏の(あるいは関西圏)の大きなスタジアムを使ったほうがよいのではないだろうか? ちなみに、昨年の第72回大会の決勝戦は茨城県のカシマサッカースタジアム(アントラーズの本拠)だったし、一昨年の第71回大会決勝は2023年1月1日に東京・国立競技場を使って行われた。その前は、さいたま市の浦和駒場スタジアムが使われることが多かった。 ちなみに、国立での決勝戦は新潟医療福祉大学と桐蔭横浜大学の間の点の取り合いとなり、後半アディショナルタイムに桐蔭の山田新(現、川崎フロンターレ)が決勝ゴールを決めて勝利した。 そうした、過去の決勝戦に比べて、宇都宮グリーンスタジアムというのは、明らかに“格落ち”の感が強い。
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