トルコの名匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督最新作『二つの季節しかない村』日本公開決定
第67回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『雪の轍』(15)などをはじめ、高い評価を受けてきたトルコの名匠ヌリ・ビルゲ・ジェイランの監督最新作にして、第76回カンヌ国際映画祭で、トルコ人初の最優秀女優賞を受賞した『二つの季節しかない村』が10月11日(金)より日本公開されることが決定。あわせてポスタービジュアルが完成し、8月9日(金)よりムビチケ前売券(オンライン)が発売されることも発表された。 【写真を見る】第76回カンヌ国際映画祭で女優賞に輝いたメルヴェ・ディズタル パルムドール、2度のグランプリ、監督賞など、カンヌ国際映画祭をにぎわせ続けてきたジェイラン監督。本作はメルヴェ・ディズダルにトルコ人初のカンヌ国際映画祭最優秀女優賞受賞をもたらした。 音さえ吸い込んでいく雪深い景色の圧巻の美しさと、標高2150mにある世界遺産ネムルトダーの夏の雄大さ、そして人間の悲しいほどの卑小さ。ジェイラン監督は、この荘厳な自然の大きさと、自我に縛られた人間の小ささを大胆に対比させる。息もつかせぬ言い合いに、目線に現れる感情の揺らぎ。これまで同様に、ドストエフスキー、チェーホフら世界の文豪作品に加え、太宰治らの私小説を思わせる感情の機微を圧倒的な演出力で描きだす。 今回解禁されたのは、荒涼とした雪景色のなかにたたずみ、じっとこちらを見つめる少女を捉えたポスター。下部には小川のほとりで、黄色い枯草と青々とした草の境目を踏みしめる男の姿が。少女の背景には雪に閉ざされた渓谷が映り込み、彼女の長い髪には雪が降り積もりつつあるが、気にせずなにかを強く訴えかける視線を送る。冬景色と夏景色という2枚の写真と呼応するかのように、「春は来ない」という文字が添えられている。「トルコ、アナトリア東部。果てしなく続く壮大な自然の前で、人間は如何に小さなものか――。」という文字通り、壮大な雪景色の前に背を向けて歩いていく男の背中はとても小さい。 「傑作!非の打ちどころのない脚本と演技。焼け付くような、魅惑的な、忘れがたい作品」(THE WRAP)、「壮大。驚くほどエレガントで優美なフィナーレを迎える」(Los Angeles Times)、「圧倒的。観る者の注意を一瞬たりとも失わない」(elPeriódico)と、多くのメディアから称賛を浴びている本作。今後も続報を待ちたい。 文/山崎伸子