ロシアの蒸留施設4カ所にドローン攻撃 「ウォッカ断ち」ではないその狙い
ウクライナがロシアのアルコール生産設備を狙った理由
米アメリカン大学のカート・ブラドック准教授(パブリックコミュニケーション研究)は「これはロシアにとって、とりわけウクライナによるロシア領内に対する攻撃を撃退するプーチンの力量にとって打撃になります」と話す。 こうした攻撃はロシア国民にとって重要な転機とまではならないかもしれないが、戦争への支持を広げそうにはない。シュミットは「実際(ロシアでの)新たな世論調査では、戦争は依然として支持されているものの、国民が停戦を求めていることが示されています」とも指摘している。 ■アルコール生産を狙った理由 ソーシャルメディアでは、ロシアのウォッカ醸造業者が操業停止に追い込まれればロシア国民は反乱を起こすのではないかといったジョークも飛び交っている。これは皮肉のつもりだろうが、これらの施設がロシアの戦争努力にとって持つ重要性を捉え損ねている。 シュミットは「まず、これらはウォッカの工場ではありません」と注意を促し、こう続ける。 「これらは極超音速ミサイル用の銅線の剥離など、さまざまな産業プロジェクトで使用される工業用アルコールを製造する工場です。一連の攻撃は(ロシアが)洗浄剤や収斂剤を入手できないようにして戦争経済のさまざまな基盤に打撃を与えることを狙ったものでした。こうした材料は各種ハードウェアの生産に不可欠なものです」 一般のロシア国民は、あるいは一般のウクライナ国民も、22日のドローン攻撃のこうした意味合いを理解していない可能性がある。シュミットはこう語る。 「ロシアは2026年や2027年には別の工場を稼働させるでしょう。しかしそれまでの間、ロシアは製品を生み出すうえで文字どおりボトルネックに直面します。アルコール生産への攻撃は製造を遅らせるのによい方法です」
Peter Suciu