ロシアの蒸留施設4カ所にドローン攻撃 「ウォッカ断ち」ではないその狙い
ロシア国内の蒸留施設4カ所が22日未明ごろ、ウクライナのドローン(無人機)の攻撃を受けた。ロシアのアルコール生産施設に対する過去最大規模の攻撃だった。これらの施設は現在の戦争で使用される燃料も供給しているとされ、ほかにコージェネレーション(熱電併給)施設と合成ゴム工場各1カ所も攻撃された。 【画像】火に包まれるロシア・トゥーラ州の蒸留施設 ソーシャルメッセージングアプリ、テレグラムへの投稿によると、モスクワ州と接するロシア西部トゥーラ州の蒸留施設2カ所が未特定の数のドローンを被弾したほか、同じく西部のタンボフ州ノボホペルスキー地区とボロネジ州の蒸留施設各1カ所もドローンで攻撃された。 ロシア国防省はトゥーラ州などでこの夜にウクライナのドローンを計18機撃墜したと主張している(編集注:各州の知事はドローンによる攻撃や被害について発表している)。一方、テレグラムのユーザーは被害の様子とみられる画像や動画を投稿し、それらはX(旧ツイッター)でも共有されている。それによると、トゥーラ州で蒸留施設少なくとも1カ所で建物が火に包まれおり、大きな損害を受けたもようだ。 この戦争についてのロシア国内からのソーシャルメディアを通じた報告は、過去には主にいわゆる軍事ブロガーが行っていたが、今回のように最近は一般のロシア人の投稿も多くなっている。外交問題の戦略分析を専門とする米ニューヘイブン大学のマシュー・シュミット准教授は「ロシア国民は、クレムリンの統制下にあるテレビ局の『刈り整えられた庭』とは別の場所で情報を得るようになってきています」と説明する。 ■新たな不意討ち 攻撃目標になった蒸留施設はいずれもウクライナとの国境からかなり離れており、ほんの数カ月前には軍事目標と見なされていなかっただろう。ロシア側はおそらく今回の攻撃をまったく予期しておらず、ロシアの市民たちも驚かされたに違いない。 一連の攻撃はウクライナがロシア国内深くに打撃を与えられることをあらためて示すとともに、ウクライナのそうした能力に関するナラティブをロシアが統制できていないことも浮き彫りにした。