「非常に多いセリフです…」司法書士が相続の相談時に断トツで聞かれる、“多くの人が勘違いしている”こと
「相続は事前に話し合わないと、9割が揉める」……裁判沙汰にならないまでも、遺産を巡って不仲になる、遺産分割以外にも介護、お墓に関するトラブルなどが発生することを考えると、9割という数字は決して大袈裟なものではありません。司法書士兼行政書士である太田昌宏氏の著書『円満相続のための 家族会議の始め方』(メディアパル)より、一部抜粋して紹介する本連載。太田氏が、司法書士ならではの視点から、トラブルを未然に防ぎ、円満な相続を実現するための家族会議の方法を、できるだけ分かりやすい表現を用いて解説します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)> 2023.02.07
「子の配偶者」は相続人ではない
相続について考えはじめる際に重要なことの一つが、「誰が相続人になるのか」を把握することです。財産を引き継ぐ可能性がある人を、もれなく会議に呼んで話し合う必要があるからです。 法律では、次のように決まっています。 (1)配偶者は必ず相続人 ただし、亡くなっている場合は「配偶者なし」です。 (2)第一順位は子(養子含む) 、第二順位は父・母、第三順位は兄弟姉妹 必ず相続人となる配偶者のほかに家族がいる場合、相続人になる人は優先順位がつけられています。子(場合によっては孫)がいれば相続人になります。 子がいなければ親が相続人になり、子も親もいなければ、兄弟姉妹(場合によっては甥や姪)が相続人になります。 相続開始時におなかにいる赤ちゃんも相続人になります。また、被相続人が養子で、子がいない場合は養親と実の親が相続人になります。ちなみに、子の配偶者は相続人ではありません。 (3)同時死亡の場合、亡くなった者はたがいに相続人にならない たとえば、両親と子ひとりの3人家族で、事故や災害で両親が同時に亡くなり、子が助かった場合、父の相続人は子、母の相続人も同じく子です。死亡した夫婦間で相続は発生しません。 この相続人に該当する人が、家族会議に参加してもらうべき人と言えます。
複雑な家族関係にある相続人に要注意
やや複雑な家族関係にある場合、意外なところに相続人がいる可能性があります。家族会議を行う際、声をかける相手になりえるでしょう。 (1)再婚や再々婚している場合 現在の配偶者が相続人で、離婚した過去の配偶者は相続人にはなりません。ただし、過去の配偶者との間に子がいれば、親権の有無など関係なく、すべて相続人になります。 (2)所在不明の子がいる場合 音信を絶っていて今はどこにいるかわからない、生きているかもわからない子も、生きていれば相続人なので、探さなければなりません。 (3)子が先に亡くなっている場合 亡くなった子は相続できませんが、その子、つまり孫がいる場合は、子の立場をつぐ相続人(代襲相続人)となります。
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