「非常に多いセリフです…」司法書士が相続の相談時に断トツで聞かれる、“多くの人が勘違いしている”こと
どの相続人に何を相続させるか
相続人が誰かがわかれば、次は誰に何を相続させるかを考えます。 日々の相談で非常によく登場するセリフを紹介します。ずばり、「長男や長女がすべて相続するのは当然では?」という言葉です。 この発言は、たいてい子どもの側から出てきます。実際に相談を受けるのは親が亡くなってからのほうが多く、遺産分割の話し合いの不満がこの言葉につながります。戦後まもなくのころまで、日本には家督相続という制度がありました。戸主(≒家長)が「家」の財産を相続するルールだったのです。 令和の時代になっても、この意識は親にも子にも根強く残っているようです。現在、この制度が存在しないことは、覚えておきましょう。 相続が始まる前の親からの相談で多いのは、「同居で面倒をみてくれている子どもに多く残してやりたい」です。 実際の貢献度や感情面からみて配慮したいのはわかりますが、法律ではそもそも血のつながっている家族と同居している人はたがいに助け合う義務があるとされ、その点は考慮されていません。 この場合、遺言書や贈与など組み合わせて対応することになります。ちなみに、法律上は寄与分という制度がいちおうあるのですが、認められる場合は限定的です。 Q長男の嫁による介護は特別な寄与? 同居して介護し、最後をみとった相続人が「寄与分」を主張することがあります。また、長男の嫁が義理の親の介護をしていたような場合に、「特別な寄与」を主張することがあります。 これらは、療養看護などの労力を提供した対価として金銭を請求するものですが、認められるためには、いずれの場合も「被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与」をした場合に限られ、一般的な生活支援や通院の付き添い程度では認められないと考えられます。 たとえば、長男の嫁が義理の親の介護をしていた場合も、「特別な寄与」に該当するには、一定の用件を満たさなければなりません。 太田 昌宏 司法書士・行政書士
太田 昌宏
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