装束を身にまとって蹴鞠や歌会…平安貴族の日常を自ら体験する承香院さんが話題。
そのようにして、日々実践する中で気づいたことの一つが、平安時代の色彩感覚の豊かさだったという。
「平安時代のものは博物館の絵を見ても、だいたいのものが焼けて黄色や赤茶になっている。 色も剥落して顔にヒビが入っていたりする場合が多いのですが、実は着色されていた当時をリアルに再現してみると、今の人たちが『かわいい~』というセンスが、ふんだんに装束の色合いやデザインに取り込まれているんです。 平安時代の琵琶の楽譜なども宮内庁のネットで見られますが、ページごとに水色やピンクなど色の違う紙を使っていて、めちゃめちゃカラフル。ポップでビビッドな色がそこここにあったのだと思います」
当時の暮らしぶりは実践して初めてわかることばかり、と承香院さん。そんな感性豊かな平安の文化を想いながら、現代の京都をそぞろ歩くとまた違った景色が見える、かも。
承香院 さん じょうこういん 平安文化実践研究家 (主に装束) 平安時代の装束や文化を実践しながら独自に研究を重ね、SNSで発信。その集大成である『あたらしい平安文化の教科書』が刊行されたばかり。
撮影・青木和義 撮影協力・バックグラウンズファクトリー 構成&文・中條裕子
『クロワッサン』1113号より
クロワッサン オンライン