華優希、宝塚に導いてくれたシェイクスピアの作品で難役挑戦 父親役・草なぎ剛の優しさに感謝
◆稽古場から草なぎ剛の芝居に惹きこまれる 気さくな人柄にも感動
――今回演じられるジェシカはどんなキャラクターですか? 華:とても若さのエネルギーがあるなというのが第一印象でした。今回、本来喜劇とされている本作の中では悪役の、ユダヤ人であるシャイロックが主人公で、その父に反発し駆け落ちをする娘。昔だったらユダヤ人の父から逃げ出してキリスト教徒に改宗してよかったよかった、めでたしめでたしで終われていたのかもしれない。でも、草なぎさん演じるシャイロックが、ユダヤ人がひどい扱いを受けていることを訴えるセリフや、娘を失って怒り狂うセリフがあるんですね。そこをないがしろにできない気持ちもあり…。 今の時代に生きる私とこの時代に生きていたジェシカ。ジェシカはきっと父の苦しみも感じていなかったわけではないので、そこのすり合わせがとても難しいのですが、しっかり向き合っていかなければと思っています。 ――ジュリエットもそうですが、シェイクスピア作品には、若くパッションあふれた女性が出てきます。ご自身と共通点を感じる部分はありますか? 華:それが…私そんな恋のエネルギーがあるタイプではなかったので(苦笑)。挙げるとすると、宝塚への愛が若さのエネルギーだったなと思います。私は高校を卒業するくらいに宝塚と出会ったんですね。エスカレーター式の高校でそのまま大学に行くつもりでいたので、すごく親の反対にもあって。でも、「私は宝塚に行く!」と全部を押し切ったんです。あれは本当に若い夢見るエネルギーだったなと思います。 ――シャイロックを演じられる草なぎ剛さんの印象は? 華:お会いする前は、お芝居がとにかく素晴らしくて惹きこまれるというか、その世界の中に連れ込んでくださるという印象が強かったです。実際にお会いすると、本当に気さくというか、お優しくて。壁を作らずにいてくださるのがありがたく感じています。 本当にフラットに話していいよという空気を作ってくださるんです。幼い頃から拝見していた、すごく遠くの世界にいらっしゃった方だから、初めはとても緊張していましたが、いつも緊張をほぐしてくださいます。 隣でお芝居を聞いていると、本当に熱量を持って訴えられるシーンでは条件反射でビクッとなってしまうくらい迫力があったり、涙が出そうになるほどの熱量があったりと勉強になることばかりです。 ――そんな草なぎさんとどんな父娘関係を演じたいですか? 華:今、本読みが終わった段階なのでこれからだなと思っています。娘が父の財産をもって駆け落ちしてしまうので、そこに怒り狂う草なぎさんのお芝居が、言葉だけでも身を削られていくほどの感覚で。どのようにジェシカ像を作っていって、どのような形の親子愛、父との繋がりを作っていくか、これからご相談しながら作り上げていきたいと思います。 ただ、自分も負けないようなエネルギーを持っていないと意味のない存在になっちゃうと思うので、そこはしっかり頑張りたいと思います。 ――ジェシカと駆け落ちをするロレンゾーを演じる小澤さんとは、柚香光さんのコンサート『TABLEAU』でもご共演されましたね。 華:緊張してしまうタイプなので、少しでもご一緒させていただいたことがある方がいてくれて安心でした。『TABLEAU』でのパフォーマンスも本当に素晴らしくて、こんな素晴らしいパフォーマンスをされる方がどんなお芝居をされるんだろうとすごく楽しみでした。 今回のお稽古場でもエネルギーにあふれていらっしゃって、目もキラキラしていて。恋する若者のエネルギーと素敵な関係性を一緒に生み出していけたらなと思ってます。