【ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 レースレポート:第1ステージ】マクナルティ、スペシャリストの頂点に立つ。「なにかクレイジーなことが起こった」総合勢はログリッチが負傷からの復帰をアピール
大本命ターリングの不調が衝撃だったのだとしたら、ヴァチェクの快走は、嬉しいサプライズだった。たしかにジュニア時代には、欧州選手権TTを勝ち取った経験がある。また今年6月のベルギー一周初日では、今区間と同じ12kmの真っ平なTTコースで、2位に食い込んでいる(ちなみにアッフィニは4位だった)。それでも、やはり生まれて初めてのグランツールに挑む22歳は、決して注目されていたわけではなかった。
「自分には良いタイムが出せると分かっていた。でも、これほどとは予想していなかった。全力を尽くした。これ以上は出来ないほどだった」(ヴァチェク)
最後から2人目に出走したマクナルティには、わずか2秒17差で破れたが、もう1人の大本命、最終走者ワウト・ファンアールトには0.63秒差で競り勝った。堂々の区間2位。ヴァチェクは純白の新人賞ジャージも手に入れた。
中間計測では、実は、ヴァチェクに対してマクナルティは1秒遅れで、ファンアールトは1秒リードしていた。ただラスト4.7kmで、2人の運命は入れ替わった。
下見の段階では、ファンアールトは、前後両輪ともにディスクホイールを使用したという。同セッティングで臨んだパリ五輪TTでは、たしかに銅メダルに輝いた。しかし風が強すぎるとの判断で、本番では前輪をスポークに変更。ただリムハイトに関してだけは、マクナルティが使用した前輪よりも、はるかに深いものを選択した。……そしてターリングと同じように、最終盤で遅れた。中間地点は8秒ビハインドの6位から、後半で2秒戻して区間4位に食い込んだシュテファン・キュングとは、対象的だった。
「絶好調ではなかった。単に好調だっただけ。すぐに脚がきつくなって、フィニッシュまでが長く感じた」(ファンアールト)
対するマクナルティは、最初から最後まで、ひたすら全力で飛ばした。最終盤も決してスピードは落ちなかった。
「これだけ短距離だと、もはやペース配分の問題ではい。ただ僕はスゴく調子が良かったから、可能な限りプッシュした。中間地点で自分がいいポジションにつけていると分かったから、後はひたすら粘って、全力を尽くすだけだった」(マクナルティ)
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