障がい者の“母”、緊急搬送されるも「子どもの介護をしないといけないから、手術を受けるわけには」…知られざる「障がい者支援の実情」
いざというとき「利用できるサービスがない」を防ぐために
障がい者サービスの場合、「障がい者支援区分」という区分がなければ利用することができません。この場合には、社会的入院を試みる必要がありますが、今日では社会的入院が昔のようにできないこともあり、支援が難しくなります。 介護などが必要な場合には、若年者のうちから障がい福祉サービスの利用を行い、支援者に慣れることも必要です。介護者が倒れたとしても、短期入所によってご本人の生活を保障をすることができます。 急に短期入所を長期間利用するとなると、本人の情緒が不安定になることもあります。短期入所を利用しなくても、ホームヘルパーを利用して一緒に買い物に行くなど、障がい福祉サービスを利用することに慣れておくことは重要だと考えています。 また、核家族化、都市化の影響で、近隣関係は希薄になっていることもあるため、相談ができる人や、助けてくれる人の確保は行う必要がありますし、日本は地域で支える仕組みを作り上げる必要があると考えています。
「誰もが住みやすい社会」にするために
私が16歳だった当時は、世間の身体障がいなどに対する理解はまだ理解が進んでいないことを認識をしていました。しかし現在は、障がい者基本法や国際法の批准のための障がい者差別解消法なども創設されるなど、理解度は高まってきているように感じます。 しかし、誰もが住みやすい社会にしていくには、この先も国民一人一人の認識や理解を変えることが大切です。 障がいというと、身体障がいなどの「目に見えるもの」がイメージされがちですが、「料理が苦手」「掃除が苦手」も1つの障がいになります。このように捉え方を変えると、理解が広がっていくように感じます。 龍田 章一 株式会社シャーンティ 代表取締役 訪問看護経営者、社会福祉士、精神保健福祉士 過去5年間で1,500名以上の障害者相談支援を実施。身体障害、知的障害、精神障害、障がい児など多岐にわたる対象者の方の支援を実施するなかで、訪問看護の受け皿を構築する必要性や、疾病を予防する必要性、精神疾患を予防する必要性などに直面する。困っている方に手を差し伸べ、その方の生活を安定化する仕組みが必要ではないかと考え、2015年8月にシャーンティを設立。
龍田 章一