もう大ピンチ…。欧州で大苦戦する日本人選手6人。日本代表の主軸、パリ世代の逸材も戦力外の危機に?
MF/FW:奥川雅也(おくがわ・まさや)
生年月日:1996年4月14日 所属クラブ:アウクスブルク(ドイツ) 24/25リーグ戦成績:1試合1得点0アシスト 欧州に渡って9年目のシーズンを迎えている奥川雅也は、現在キャリア最大の試練に直面している。 2015年7月、奥川は京都サンガF.C.からザルツブルクに完全移籍で加入した。その後、リーフェリングやマッテルスブルクといったオーストリアのクラブのほか、ホルシュタイン・キールやビーレフェルトといったドイツのクラブに期限付き移籍。中小クラブで地道にキャリアを積んできた。 2023年7月にはアウクスブルクに完全移籍したものの、負傷に苦しめられたこともあり、ブンデスリーガ(ドイツ1部リーグ)ではわずか2試合の出場に終わる。今年1月にはハンブルガー(HSV)に期限付き移籍したが、ここでも負傷の影響が祟って2.ブンデスリーガ(ドイツ2部リーグ)で8試合の出場にとどまった。 期限付き移籍が終了してアウクスブルクに復帰した奥川だが、チーム内での序列は低い。今年7月、ドイツ誌『kicker』は奥川について「すでにブンデスリーガで通用することは証明している」としながらも、「10番ポジションにおけるルベン・バルガスのパフォーマンスレベルと比べると、何かが不足している」とライバルとの差を指摘。 「HSVへのローン中にも負傷を繰り返していたため、オクガワは早めにパフォーマンスを上げなければならない。さもないと、おそらく移籍を勧められるだろう」と、厳しい状況に置かれていることを強調した。 2024/25シーズン、奥川はレギオナルリーガ・バイエルン(ドイツ・バイエルンのアマチュアリーグ)で1試合に出場したのみだ(1得点)。まずはトップチームで安定的に試合へ出場することが目下の最優先事項か。
FW:伊藤達哉(いとう・たつや)
生年月日:1997年6月26日 所属クラブ:マクデブルク(ドイツ) 24/25リーグ戦成績:5試合0得点1アシスト 伊藤達哉の場合、出場機会の確保に苦しむほかの日本人選手とは置かれている状況が少し異なる。 2022年1月にシント=トロイデンからマクデブルクに期限付き移籍で加入した伊藤は、加入初年度に同クラブの2.ブンデスリーガ(ドイツ2部リーグ)昇格に貢献。活躍が認められ、2023年7月には契約が完全移籍に移行した。 伊藤にとって問題なのは、マクデブルクで先発出場の機会が極端に少ないことだ。2部リーグに活躍の場を移した2022/23シーズンは、3部リーグ時代と同様に途中出場が中心。チームを率いるのは伊藤がハンブルガーに在籍していた頃の恩師であるクリスティアン・ティッツ監督だが、同指揮官はなぜか目立った負傷もない伊藤をあまり先発で起用してこなかった。 今年8月、ドイツ紙『ビルト』は伊藤が今夏の移籍希望をクラブに通達したことを報道。しかし、結局はティッツ監督が伊藤の売却に消極的だったため、移籍は実現しなかった模様だ。 2024/25シーズン、伊藤は2部リーグで1アシストをマークしているものの、出場した5試合は全て途中出場となっている。ティッツ監督が伊藤の残留を望んだのはチームの戦力として計算に入れている証にほかならないが、そこにはあくまで「ゲームチェンジャーとして試合途中に投入する存在」というエクスキューズが付く。 このまま先発の機会が増えなければキャリアの停滞につながる危険性もあるため、今冬の移籍市場で伊藤が再びクラブに退団をリクエストしたとしても何ら不思議ではないだろう。伊藤は現在27歳、途中投入要員を受け入れるにはあまりにも若すぎる。