【闘病】「⼤腸がん」は他⼈事じゃない 人一倍健康自慢の40代女性は無自覚でもステージ3a
今では病気発見前より体調が改善している
編集部: 栗山さんが治療中に心の支えにしていたものは何でしょうか? 栗山さん: 家族や友⼈が私の可能性を信じ、決断を尊重し、応援してくれたことは言うまでもなく強い支えだったと思います。また、野球の侍ジャパンがWBCでアメリカに勝った勇姿にも励まされ、「私もがんばる」と⼼を強く持てました。それに加え、私は治療をする上で、信頼できる医療チームの存在が、心の支えとして重要だと強く認識しています。医療チームとコミュニケーションを重ね、私も彼らの役割を理解し、彼らも私の心、体、人生の価値観を理解してくれる中で治療ができたことで、心が安定し、前向きに頑張れた大きな要因だと思います。 編集部: 現在の体調はいかがですか? 栗山さん: 検査のある週は緊張してドッと疲れますが、社会人になって1番体調が良いです。そして、仕事に夢中です。私にとって仕事は幼少期からの夢であり、人生そのものを創ってきたものです。「病気になってまで仕事する?」と言われることもありますが、働き方を変えて、積極的に取り組んでいます。また、病気を機に自炊の楽しさも知れたので日々欠かさず取り組んでいます。 編集部: もし病気になる前の自分にアドバイスできるなら、何と声をかけますか? 栗山さん: 「本当に重要なこと、大切なことから順にやっていってほしい」「時間=人生=命」と思って、多少わがままでも大事な人に時間を使ってほしいと伝えたいです。
信頼できる医師との出会いが治療の第一歩
編集部: 大腸がんという病気について普段意識していない人や、関係ないと思っている人に伝えたいことはありますか? 栗山さん: 規則正しい生活をしていない社会人の方は、大腸がんのハイリスクかもしれません。おそらく世の社会人で、規則正しい生活ができている人は少ないと想像します。私が言いたいのは、それくらい多くの人が無意識に積み重ねている生活習慣の中で、自覚症状もなく罹患している病気であり、「大腸がんは他人事じゃないよ」ということです。「規則正しい生活をしましょう」は、誰もが聞いたことがある言葉だけど、実行は難しいものです。しかし、治療の⼀環で必ず推奨される生活です。元気でいるための大切な生活習慣であり、規則正しい生活を送らないと、リスクは上がって当然なのかもしれません。 編集部: 栗山さんが医療従事者に今後期待することはありますか? 栗山さん: 治療を円滑に、効果的に受けるには、医療チームの皆様との信頼関係がとても大事なことだと痛感しました。多くの患者さんの人生に関わっていらっしゃることもよくわかっていますが、その中でもできる最大限の会話、相互理解の時間を取ってくれるとありがたいです。それでも私は、入院前に人生で1番大切なことや、価値観についてのヒアリングをしてくださったことが、とても嬉しかったです。病気に向き合うのではなく、人生に向き合ってくれる医療チームに出会えたことに心底安心しました。 編集部: 本記事の読者の方向けにメッセージもお願いします。 栗山さん: 伝えたいことは3つです。1つ目は、ピンチのときに自分を助けてくれるのは、自分の身体づくりだということです。日々筋力や体力をつけ、免疫力を高め、歯を大事にするなどのコツコツとした積み重ねが治療を短期間で終わらせることにつながったと思います。2つ目はあなたの大切な人や友達に、たとえ専門家から得た治療に関する情報でも、「こう言っていた」「こう聞いた」と教えるのは少し待ってほしいということです。それは一般論や他人のストーリーであり、教えている人に該当する情報、メッセージとは限らないだけでなく、不安を煽ることにもなりえます。私自身、病気が判明することや治療よりも、1番メンタルを消耗したのはまさにこれでした。3つ目に信頼できるかかりつけ医を見つけることは、結婚相手を探すくらい大事なことという点です。医師は患者さんの希望や意思を理解して、最善な治療法を提案し、人生に向き合ってくれるパートナーです。自分の意志で選べるうちに、相談しやすい理解者、信頼できる医師を見つけ、相互理解を深めておくとピンチの時に安心です。