<夢舞台へ―大垣日大>センバツ チーム紹介/上 投手編 二枚看板、互いに成長 /岐阜
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に、県勢の大垣日大が11年ぶり4回目の出場を果たし、初戦は21日の第3試合、対只見(福島)戦に決まった。監督歴55年のベテラン、阪口慶三監督(77)に率いられ、夢の舞台に臨む大垣日大ナインの挑戦に迫る。【熊谷佐和子】 投手陣の柱は、直球の最速は137キロながらも高い制球力を持つ左腕・五島幹士(2年)と、最速142キロの直球と、カーブを主体とする右腕・山田渓太(1年)の2人だ。昨年の秋季東海大会3試合全てに五島が先発し、山田が救援した。 五島は昨秋からエースナンバー「背番号1」をつけた。球が高めになって打たれるケースが多かった反省を生かし、球を低めに集めるように意識することを重ね、プレッシャーにも強くなった。試合前に監督から「任せた」と言ってもらえるようにもなり、自信を深めた。打たせて取る投球スタイルだが「三振を奪うためには新たな球種も必要」(捕手の西脇昂暉主将)と、甲子園に向けて斜め下に落ちるチェンジアップを練習している。 五島は山田について「後ろにいつも山田がいるので、後のことは考えず初回から全力で投げられる」と信頼を寄せる一方「山田から『1番を取ってやるぞ』との気持ちが感じられ、負けられない」と意地をのぞかせる。 山田は昨夏の岐阜大会4回戦の対岐阜戦で公式戦に初先発した。昨秋は、得意とする直球で攻めて本塁打にされた反省から「自信が持てる変化球がほしい」と痛感するようになった。カーブや落ちる変化球の精度を磨く。五島について「ブルペンで隣に立つと威圧感があり、どんなピンチもものおじしない」と尊敬し、背中を追う。 「ライバル」として意識し合う2人だが、練習では教え合い、互いの成長につなげている。「スライダーの曲がりが大きく、甘く入ると打たれてしまう」と感じていた山田は、スライダーを得意とする五島から「球の縫い目に人さし指を立てるように」と教わり、実践。五島も後輩である山田を「一つ一つの投球の動作を考えながら練習している」と認めており、投球時の体の使い方について質問することもある。 二枚看板の他には、昨夏の県大会でエースとして投げ、肩のけがから復調してきた三松将也(2年)や、アンダースローの川島功聖(1年)が控え、それぞれ実力を伸ばしている。川島の台頭について、阪口監督は「うれしい誤算」と語る。投手陣は切磋琢磨(せっさたくま)しながら、甲子園の大舞台を待つ。