「老い」を制するとは「片づける」を習慣にすること 鞄の中が乱れると自律神経も乱れる
自分の意志でコントロールできない自律神経。「その乱れは40代から始まり、50代になるころには、野生動物であれば生存不可能なレベルまで落ちます」と順天堂大学医学部の小林弘幸教授は指摘します。何もしなければ、衰退の一途をたどる自律神経をどのように整えていけばよいのか。小林教授の新著『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』より一部抜粋・再構成のうえ、ご紹介します。 ■老いない習慣を身に付ける
自律神経は50歳を境に急降下します。そこから多くの方が定年を迎える60歳までの間、できれば55歳までには、ある程度準備をしておくことは大切です。準備とは具体的には、老いない習慣を身に付けることです。 私自身も55歳ごろ、どうにもモチベーションが上がらない時期がありました。それをどう解決したかといえば「片づけ」の一言につきます。職場も自宅も、毎日片づけていました。意識してやったことといえば、それがすべてです。
自律神経の視点からいえば、「たくさんある中から選択する」「どれにするか迷う」「見つからないものを探す」「イライラする」こういうときに、自律神経が乱れます。要は片づいていない状態です。汚い部屋にいると、それだけで自律神経は乱れてしまい、よいアイデアが浮かぶこともなければ、前向きな気分にもなれません。 逆に、必要なものが必要な数だけあれば、選択の必要はありませんし、そもそも必要なものしかなければ、どれにするか迷うこともありません。そして必要なものが必要な場所にあれば、探す必要もありません。こういう状態であれば、イライラすることもなくなります。きれいに片づいた部屋にいれば、それだけで前向きになり、パフォーマンスが上がります。
中には片づいていない状態でもまったく問題ない、という方もいらっしゃいますが、若いうちはよくても、歳を重ねると自律神経は低下していきますから、徐々にイライラする機会が増えて、イライラするとさらに自律神経が乱れるという悪循環になります。 一方、片づけるという行為自体、自律神経のバロメーターになります。自律神経が乱れた状態では片づけること自体、難しいと感じることもあるでしょう。また、「片づけたいのに片づかない」ということがストレスになって、逆に自律神経が乱れてしまう人もいます。