Jリーグ天王山 勝者はレッズかガンバか
首位の浦和レッズと2位のガンバ大阪が対峙するJ1の天王山が22日に、レッズのホーム埼玉スタジアムで行われる。両チームの勝ち点差は5。レッズが勝てば2試合を残して8シーズンぶり2度目の優勝が決まり、ガンバが勝てば逆転優勝の可能性が出てくる。 両チームの激突は、万博で3月1日に行われた開幕戦以来。その試合で先制ゴールを死守、J1の年間個人記録を更新する「16」の無失点試合への第一歩とした日本代表GK西川周作は、「開幕戦で戦ったときのガンバとは、まったく違うチームになっていると思うので」と、大一番へ集中している。その試合では、ガンバは、宇佐美貴史の故障などで、2トップは佐藤晃大と、本来はボランチの遠藤保仁が務めた。そこから14試合で4勝3分け7敗と黒星が大きく先行し、J2降格圏内となる16位に低迷していたが、ブラジル人FWパトリックを期限付き移籍で獲得してからチームは一変した。 川崎フロンターレとヴァンフォーレ甲府でプレーし、Jリーグにも慣れているパトリックの存在が「ガンバの新しい武器となった」と、元日本代表MFで現在は解説者を務める水沼貴史氏は指摘する。 「パトリックは決して足元のテクニックが高い選手ではないが、189cm、82kgの巨体を生かして前線で体を張り、圧倒的なパワーとプレッシャーとで相手の最終ラインをズルズルと押し下げる存在感は、他のガンバの攻撃陣が持ちあわせていない要素と言える。練習ではまったくできないプレーを、本番ではいとも簡単に実践する意外性にも富んでいる。出場16試合で8点をマークしている決定力以上に、ゴール前における高さや強引なまでの前への突破でスペースを突く、あるいは味方のためにスペースを作ることができる。復調した宇佐美が夏場以降に他チームの脅威となり得ているのもパトリックの存在を抜きには語れない。パトリックが囮になることで、宇佐美だけでなく阿部浩之や倉田秋、大森晃太郎といった得点力のある2列目の選手も生きてくる」 ドリブル突破やパスセンスにも長けた宇佐美が「柔」ならば、パトリックはまさしく「剛」のストライカーとなる。中断明けのガンバはシーズンのちょうど半分に当たる17試合で実に40ゴールを記録するなど、お互いを生かし合う2人にけん引される形で伝統の攻撃力が完全に復活。チームも17試合で13勝2分け2敗、勝ち点41をマークして一気に上位戦線へ加わる。この間の失点数も「11」にとどめるなど、攻守両面で完璧なハーモニーが奏でられるようになった。倍にしてシーズン換算すれば勝ち点82、総得点80、総失点22とまさに手がつけられない数字となる。