ビルの前の「門松」、回収はいつ? ネット通販にリピーター需要、値上げの波も 売れ筋サイズは
年末年始、ビルやお店、マンションの入り口で目にする門松。元日から7日、または15日までは「松の内」と呼ばれ、松飾りを立てておく期間です。門松を扱う会社によると、今年は例年よりも小さいサイズに需要があったといいます。 【画像】こんなにたくさん! ずらりと並ぶ「門松」
十数年前から販売
2024年12月下旬、東京・青梅にある地方卸売市場に青々とした門松がずらりと並んでいました。 門松を販売するのは、オフィス向けに観葉植物のレンタルやインターネット通販を展開するKIRINPLUS(キリンプラス)=東京都港区=です。 代表取締役の高橋哲也さん(63)によると、販売を始めたのは十数年前。その年の11月、市場に置かれていた門松の見本を「何げなく」撮影してHPにアップしたところ、予想を超える問い合わせがあったといいます。 「もともとクリスマスや七夕、卒業式など季節のイベントに合わせた植物を販売していましたが、門松の販売をする会社は少なかったためか、リピーターが続きました」 今シーズンは約400対(約800本)の申し込みがあり、門松の売り上げは全体の4分の1を占めるほどになっています。
ビルや工場、病院の前に
お正月の縁起物として門の前に飾られる門松ですが、本来は年神様を迎え入れるためのものとして作られていました。 高橋さんによると、同社が取り扱う門松は千葉県・房総半島で作られ、例年12月中旬に市場へ納品されるそうです。 サイズは、S(0.9m)、M(1.2m)、L(1.5m)、LL(1.8m)の4種類。クリスマス前から仕事納めまでの間に、都内を中心とした関東全域のオフィスビルや工場、病院などに配送されます。 門松には本物の松と竹が使われているため、飾れるのは1シーズンのみ。多くの場合、販売と回収がセットで申し込まれ、1月上旬に同社が回収し、林業関係の業者に引き渡して処分されるそうです。 配送と回収には、臨時のアルバイトを10人ほど雇って対応するといいます。 例年、回収依頼は仕事始めの翌日以降が多いそう。「今年の仕事始めはおそらく6日。その日は出社する社員や取引先などいろんな人に門松を見てもらいたいというお客様の声があるので、7日以降に回収します」
値上げの波は門松にも
長年、観葉植物のレンタルのほか、門松の販売に携わっている高橋さんですが、「門松を飾りたいお客様も限られてきました」と現状を話します。 昨今の値上げの波は、門松も例外ではありません。 「例年Mサイズが売れ筋ではありますが、今年はL・LLサイズの注文が少なくなりました。仕入れ価格や人件費が上がって値上げもしているので、予算の関係があるのかもしれません」 それでもリピーターが多いことに「回収までを含め、お客様には満足していただけていると思います」と評価する高橋さん。 「門松は日本のお正月の文化として今後も続いていってほしい」と話しています。