虎の“ミスターオクトーバー”福留がマエケンに引導!
決めたのは37歳の福留孝介だった。 0-0で迎えた6回一死走者はいない。カウントが1-3という打者有利のシチュエーションになって福留にスイッチが入った。 「バッティングカウントで、ランナーもいなかったので、思い切っていってやれと思った」 マウンドには、悲壮な決意で中4日で先発してきた前田健太。 大型台風19号が沖縄から接近していて、もしかすると明後日のゲームが雨天中止となる可能性があるが、予備日は1日(14日)だけで、それも雨で流れた場合、そこで打ち切りとなる。1勝1敗1分の場合は、レギュラーシーズン2位で終えた阪神がファイナルステージへ進む権利を得るため、雨天中止で3試合の予定が2試合になってしまえば、阪神に1勝された時点で広島の敗退が決まってしまう。広島が必勝を期してマエケンをCS開幕戦にもってきた理由はわからぬでもない。 マエケンの、そのアウトコースを狙ったボールは、少しシュート回転して中へ入った。 一閃。 福留は、マエケンの手元の狂いを見逃さなかった。 「打った瞬間、(バックスクリーンへ)届くなとは思いました」 値千金の一撃は決勝のCS1号となってバックスクリーンの中でポーンと飛び跳ねた。 一塁を回った瞬間に福留は「自然に出た」と拳を握りしめるようにガッツポーズ。 「ランディ(メッセンジャー)が投げていると相性がいいので思い切っていった」 メッセンジャーの広島戦の先発ゲームで、今季、これで3本目。確かに相性はいい。PL学園の後輩になるマエケンとの相性も「8の5」と抜群だった。 あるコーチがCS前にこんなことを言っていたのを思い出した。 「短期決戦には勝ち運を持っている選手が必要だけど、それを持っているのが(福留)孝介だ。奴はPL時代からアトランタ五輪やWBCなど野球生活の中で大舞台を経験して、そういうところで必ず活躍してきた。勝負運を持っている。孝介は打つぞ!」 トラの“ミスターオクトーバー”と呼んでいい。