ハリーとメーガンが海外訪問に積極的なのは「自己宣伝でしかない」「父や兄へのあてこすり」と伝記作家
<「30歳になるのは不安だったが、40歳になるのは楽しみ」と語ったヘンリー公爵。兄ウィリアムとの和解は遠いと皇太子妃の伝記作家>【木村正人(国際ジャーナリスト)】
[ロンドン発]「30歳になる時は不安だったが、40歳になるのは楽しみだ。いくつになっても、私の使命は世界で存在感を示し、善行を続けることだ。2人の子どもの父親になったことで人生の新たな視点が得られ、仕事の集中力も高まった。人生の大きな喜びの一つだ」 【写真】【動画】ヘンリー&メーガン、以前からバルコニーでの立ち位置は徐々に脇に追いやられていた 順風満帆に見えた英王室の衝撃的な転換点となったのはヘンリー公爵(王位継承順位5位)と元米人気女優メーガン夫人の結婚と王室離脱。ヘンリー公爵は9月15日に40歳の誕生日を迎えるに当たり、英BBC放送のインタビューや声明でこう語っている。 2度目のアフガニスタン派遣任務を終えたヘンリー公爵は30歳になった2014年、負傷した退役軍人向けのスポーツ大会「インビクタス・ゲームズ」を創設した。王室離脱で王立海兵隊総隊長を含む名誉軍職を失った後もゲームズには積極的に関わっている。 ■「ナイジェリアは私の『母なる国』」とメーガン夫人 今年に入ってヘンリー公爵とメーガン夫人はナイジェリアに続きコロンビアを訪問。5月、ナイジェリアに到着した2人はレッドカーペットの大歓迎を受けた。メーガン夫人は約2年前、遺伝子検査を受け、「自分は43%ナイジェリア人 」と打ち明けている。 同国のクリストファー・ムーサ国防参謀総長が私的な立場で2人を招待し、メーガン夫人は「ナイジェリアは私の『母なる国』」と応じた。8月にはコロンビア初の黒人女性副大統領フランシア・マルケス氏に招かれ、アフリカとのつながりが深い村サンバジリオデパレンケを訪れた。 チャールズ国王は自身のがん、ウィリアム皇太子はキャサリン妃のがん治療で公務が制限される。それだけにヘンリー公爵とメーガン夫人の海外訪問は目立った。2人がネットフリックス新プロジェクトの予告編を公開したのもキャサリン妃のメッセージが公開された100分後だった。 ■「ハリーとメーガンは信頼の輪の外」と伝記作家 新著『キャサリン皇太子妃:未来の王妃の伝記』を出版したロバート・ジョブソン氏は9月10日、外国人特派員協会(FPA)で質疑に応じ、「最高に悪いタイミングの発表だったが、彼らは単に不運だったんだと思う」との見方を示した。 「ケイト(キャサリン妃の通称)が化学療法の終了を発表することを2人が知っていたとは思えない。ネットフリックスの予告編が発表されたタイミングは偶然だ。ハリー(ヘンリー公爵の愛称)とメーガンは信頼の輪の外にいるから、彼らは知らなかっただけなんだ」 ジョブソン氏は、ヘンリー公爵とメーガン夫人の海外訪問について「2人の立場は明確だ。海外での活動にも取り組むつもりだ。国王とウィリアムが公務を減らしている時にあてこすりをしているように感じる」と批判する。 ■2人の王子の関係について「兄弟はとても難しい」 「私はハリーとメーガンのことを完全に理解しているわけではない。彼らは、半分は王室の中に、半分は外にいることを望んだが、エリザベス女王は首を縦には振らなかった。王室が海外で活動をする時には自己宣伝以外の目的がある。外務省と英連邦のためだ」 「ハリーとメーガンの海外訪問は自己宣伝以外の何物でもない」とジョブソン氏は断言する。2人の王子の関係について「兄弟というのはとても難しい。王子であろうと一般市民であろうとね。ヘンリー公爵が謝罪を期待しているのなら『何のために』と言いたい」と語る。 「ウィリアムにとっては妻への攻撃、王室に対する人種差別の告発が非常に大きな問題なんだと思う。信頼が最大の問題だ。2人の間には信頼がほとんどない。2人が激しく対立している現状では近い将来、和解するとは到底、思えない」という。 妻の健康問題とは言え、ウィリアム皇太子のプライバシー優先の秘密主義は王室の伝統やプロトコルと反する。メディアのフラストレーションや矛盾がどんどん膨らむ中、兄弟の不和、時代のギャップをつなぐ接着剤の役割を求められるキャサリン妃の負担は大きいと言わざるを得ない。