【狙うは来夏の都議選です】「石丸新党結党」の極秘計画を石丸伸二氏の選挙参謀がついに明かした!
七夕に「ゼロ打ち」で3期目を決めた小池百合子東京都知事(71)。ゼロ打ちとは、20時の開票率0%で当選確実が出る選挙用語だ。 【写真】「未来は明るい」と太鼓判! 都知事選一番の「勝利者」 今回の都知事選は小池知事と元参議院議員の蓮舫氏(56)が6月18日にマニフェストをぶつけ合うも、公示日の直前でテレビ局の討論番組もなく、政策議論は深まらなかった。 候補者が56人と乱立し、掲示板が風俗店の宣伝やペットのポスターにジャックされるなど想定外な選挙だった。それでも終わってみれば小池氏の291万票の圧勝で幕を閉じた。都庁幹部は「選挙直前に『天変地異』が起こると現職が圧倒的に有利になる傾向がある」と分析する。 「今回はポスタージャックなど不可解な選挙となり、2期8年の実績がある小池知事優位に働いたのではないか。それに子育て世帯に向けた、高校授業料実質無償化や『018サポート』の所得制限なしの18歳までのすべての子どもに月5千円給付(年6万円)が功を奏した。6兆3865億の都税収がある東京だからこそできる政策で、行財政改革を掲げる蓮舫氏が新知事となれば、これも見直されるのでは、と不安が広がっていた」 018サポートの政策は票集めの「ばら撒き」色が濃くみえる政策だが、「子育てと教育にお金がかからない都市にしたい」というのが小池氏の主張である。ただ、都の責任だけではないが、東京都の合計特殊出生率が初めて1を切り、0.99となった。1を割った自治体は東京のみ。小池都政は少子化政策に力を入れてはいるものの、歯止めがかかっていない状況だ。 小池氏は今回の公約で、無痛分娩費用の助成、保育料無償化を第1子に拡大し、子育て世帯の家賃負担軽減など少子化対策をさらに進めることを語っていた。だが、ジャーナリストの鈴木哲夫氏の見方は冷ややかだ。 「過去の都政を見ても3期目になると、都庁内や議会はもう4期目はないという空気になりどうせ終わるんだから、と協力体制や意識が少し下がってくる。小池氏が政策を進める環境としては2期目に比べて厳しくなっていく。それでも、少子化政策で予算を付けるにしても東京都の一般会計8兆5千億円からしてみれば大した額ではない。次、それやりましょう、という代わりに、都庁が築いてきた既得権益や天下りの仕組みは、ちゃんと守ってくださいよ、となる。だから、小池氏が選挙戦で掲げた政策もいくつかは実現できても、都政の見える化や利権に触れるような大行財政改革がやれるか、小池氏が試されることになります」 敗れたものの2位に躍り出て、一躍脚光を浴びたのは元安芸高田市長の石丸伸二氏(41)だ。当初、「50万票」と目されていたが、3倍以上の165万票を積み上げた。具体的な政策は乏しかったが、「みなさんの力で政治屋の一掃をしましょう」といった短いセンテンスでゆっくり話し、動画で流されることを意識した演説を行っていた。 石丸陣営の選挙を取り仕切った選挙プランナーの藤川晋之助氏(70)は「未来は明るい」と語り、「石丸新党」の構想について意気揚々とこう語る。 「仮に、新党を作ったら、またすごい風が吹くかもしれない。あれだけの人ですから、考えてると思いますが、まず狙うのは来年夏の都議会議員選挙です。都議会議員に5人でも10人でも通すことができたら足腰ができるわけです。石丸本人も次の4年まで何もしないのは無策なので『良い知事になるために国政を勉強する』と公言して来年の参議院議員選挙に出馬すればいい。その選択が僕らは一番いいと思いますし、今この勢いだったら勝たせられる」 肝心の石丸氏は「あらゆる選択肢はテーブルの上にある」と述べるにとどまり、新党や自身の今後についての具体策は述べていない。 「本人は本気で勝ちに行っていたので敗戦に打ちひしがれています。投開票日夜も(テレビ局の選挙特番のインタビューは受けずに)支援者に挨拶してすぐに帰りたい、とこぼしていました。彼が本気になってまたやろうと思えば『石丸旋風』はまた吹くでしょう」(藤川氏) 選挙前は「最強の候補者」と期待された蓮舫氏は128万票で3位に沈んだ。参院当選4回は東京選挙区で、そのうち2回は100万票超のトップ当選の実績もあった。キャスター出身で抜群の知名度を誇り、遊説先は黒山の人だかりであった。立憲民主党の都議は敗因をこう語る。 「怖い、というイメージ払拭のために『ゆっくりやさしい口調で演説してください』と何度諭してもスイッチが入ると、国会で追及するあのスタイルに戻ってしまう。裏金問題で逆風の自民党と小池知事を重ね、『与野党対決』とする戦術は、小池知事サイドも見越しており、従来型の演説はしなかった。応援でマイクを握るのは自治体の首長だけ。小池陣営が自民色を打ち消した選挙戦で、同じ土俵に上がらず空回りした」 蓮舫氏は街頭演説で幾度となく、「小池知事は討論番組から逃げている」と批判し、「議論が深まらない」と繰り返した。6月30日、銀座での演説でこう切り捨てている。 「ある民放のテレビ局の幹部に聞きましたら、討論会に3回オファーしたら全て断られた。理由は公務。でも、そのうちの1回は、蓋を開けたら自分で街頭演説をやっていたそうです。逃げないでいただきたい」 都民ファーストの会幹事長の尾島紘平氏(35)に尋ねると、「選挙が終わったので真相を語ります」と、こう打ち明けた。 「2つの番組の出演依頼にOKを出していました。『都合が合わない』と討論番組に出席せずに流したのは蓮舫さんです。一つは日本テレビ系の『真相報道 バンキシャ!』。われわれはOKで返事しましたが、蓮舫さんサイドが『都合が合わない』と断りを入れ、番組が流れた。フジテレビ系の『Mr.サンデー』は当初討論形式でしたが個別取材に切り替わりました。テレ朝の『報道ステーション』からはそもそも依頼もありません。なぜ蓮舫さんは嘘を公言するのか」 立憲民主党東京都連幹事長の手塚仁雄氏の事務所に真相を問うと、「出演依頼をこちらが断った事実は一切ありません。今さら具体的な出演交渉の過程をつまびらかにすることを好ましいとも思いませんが、(小池氏が)八王子からのリモート生出演を一時OKしておきながら、その数時間後にキャンセルするなど番組担当者を振り回し、担当者が気の毒だなという印象ももっておりました」と返答した。 政策論は深まらず、討論会の話題で「逃げた」「逃げていない」で、もめ続ける両陣営であった。 投開票日の夜、今後について問われた蓮舫氏は「文学とか哲学とかを学んでいきたい」と演説でかすれた声でそう述べた。 小池氏の圧勝に思えた都知事選。既成政党への不信感は拭えないままで、次の戦いはもう始まろうとしている。 取材・文:岩崎大輔
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