「国防教育法」が施行され、中国の学校は早くも「戦時体制」
一流の大学で逆転現象が集中しているワケ
世界ではあまり知られていないが、これらの大学は中国で「双一流」構築大学と呼ばれる高等教育機関である。「双一流」とは、世界の一流大学、一流学科を備えた高等教育機関を意味している。 中国政府が2010年代から実施している国家主導型の高等教育構想で、21世紀半ばに「高等教育強国」を築き上げることを目標にして、最先端科学技術の研究開発と強固な社会主義思想の継承者を養成しているのである。 中国教育部の発表によれば、2017年現在、「双一流」構築大学の中で、「一流大学」に指定されている大学は42校で、「一流学科」を備えている大学は96校あり、5年に一度見直しが行われる。そしてなにより、「双一流」構築大学は、国家の危機に際して、速やかに戦時体制に移行することが任務で、最先端技術を軍事転用するための中核となる研究機関なのである。 増加する一方の大学院生ばかりか、大学生も高校生も、こぞって軍事訓練を受けることになる。一般兵士は無尽蔵に確保できるし、高等教育を受けた優秀な人材なら、軍事知識を吸収するのも容易で、エリート軍人に育つのも早いだろう。それに加えて、人知れず、国家主導型の最先端軍事技術の研究開発に取り組むエリート集団の育成にも余念がない。 こうした多様な階層の学生が軍人になったら、彼らは国際戦争の兵力でも頭脳戦でも、他を圧倒する存在になるのではないだろうか。 中国はすでに戦時体制に入ったと考えたほうが良いかもしれない。
譚璐美