猫の寿命を30年に! “腎臓病”の薬、実用化で何が変わる!?
元東京大学教授、AIM医学研究所代表の宮﨑徹先生にインタビュー。猫の宿命ともいえる不治の病“腎臓病”を解決するたんぱく質「AIM」の研究は、今どうなっているのかうかがいました。 【動画】猫の腎臓病を解決するAIM薬の現状は?
猫の“腎臓”薬の完成はいつ?
――宮﨑先生は、猫の8割以上がかかると言われている“腎臓病”の原因を世界で初めて究明し、AIMによる薬(AIM薬)を開発中です。「2026年から27年を目標に医薬品として承認を得たい」とのことですが、実現までに何%ぐらいの段階まで来ているのですか? 「長い時間をかけて薬を作ってきましたが、薬自体はもうほぼ完成していますので、科学者的にはほぼ100%です。後は省庁に医薬品としての承認を得る手続きだけですね。皆様に使っていただく許可を得るためには、非臨床試験と臨床試験の二段階をクリアすることが必要で、これから非臨床試験を行い、年内には臨床試験までできる予定です。もう80%ぐらいの段階には来ていると思います」 ――もうすぐですね! 開発を進める中で、2021年夏、コロナ禍の経済的な理由で企業の資金が打ち切られ中断せざるを得なくなった際、愛猫家約2万人から計3億円近くの寄付がよせられ研究続行となったことも大きな話題となりました。この他にも、ご苦労や大きな壁となったものはありましたか? 「科学的な問題は我々研究者の技量で1つ1つクリアしていくことなので必ず解決できることなのですが、資金の面では苦労もありました。治験の資金は5億、10億となるため、企業や投資家の方々に賛同いただけるようお話をするのですが、科学者同士の話し方では伝わらないことが多いので、理解してもらえるような説明を心掛けました。 また、様々な利権が絡んできますし、薬が開発されると困る方々から横やりが入ったりすることもあって…。我々研究者はピュアなので、そういう事に心が折れてしまったりするんです。でも薬を待ってくれている人たちのためにも開発を遅らせるわけにはいかないと頑張ってやってきました。 2021年の寄付は、こちらからお願いした訳ではなく、愛猫家の方々が自発的に動いてくださったもので、温かいご支援が心の支えになりました。あれがなかったら猫薬の研究はやめて人薬の開発に専念していたかもしれません。責任感とモチベーションが大いに上がりました」