猫の寿命を30年に! “腎臓病”の薬、実用化で何が変わる!?
――猫好きの人に共通点は感じますか? 「猫が好きな人は猫のような人が多いですね。自分を持っていて、クールでほどよい距離を作ってくれるので付き合いやすいです。私が最初に留学したのはフランスでしたが、フランス人は自分の生活や主張を持ちながら付き合ってくれたので、心地よく暮らせました。猫の頭数はフランスが世界一多いそうで、“やっぱりな”と思いました」 ――先生と猫とは、やはり深い縁があったようですね。そんな宮崎先生にとって「猫の幸せ」と「自分の幸せ」とは? 「猫の幸せは、人間の幸せと同じで、“本来の寿命まで元気で生きられること”だと思っています。人間の本来の寿命は125歳とも130歳ともいわれていますし、猫は30歳かも40歳かもしれません。今のところ猫の平均寿命は15~20年ですが、ほとんどの猫が末期腎不全で亡くなり、最期は症状が悪化して苦しんで、かわいそうな結末になってしまいます。人間も猫も、無理矢理な長生きではなく、元気なままで本来の寿命を全うできるようにすることが、究極のゴールですね」 ――ご自身の幸せはいかがでしょうか? 「全ての猫と人間がそうして究極のゴールを迎えられるようにすることができたら、それが一番の幸せですね。私はそのために今生きて研究を続けているのだと思いますし、それ以上の望みはありません。ですから、AIM薬を作るにあたって余計なストレスを感じたくないですね。研究の妨げになるようなことが起きないよう、薬の完成に向けて100%集中することができたらいいなと思っています」 ――猫の幸せのために人生を懸けてくださっている宮﨑先生には感謝しかありません。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
【プロフィール】 宮﨑徹(みやざき・とおる) 1986年東京大学医学部卒。東大病院で消化器内科医として勤務した後、フランス、スイス、アメリカで研究を重ねる。1996年、人や動物の血液中に存在する「AIM」という遺伝子を発見し、3年後に論文を発表。研究の過程で「AIM」が腎臓の働きを改善することがわかり、 猫の寿命を大きく伸ばす可能性の治療薬の開発に取り組む。2022年、東大を退職し、「AIM医学研究所」を設立し所長に就任。 (取材・文/猫咲泉)
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