経営再建中の東芝が損失計上の可能性(全文1)現時点では数千億円規模になる
今回の開示の件について
続いて今回の開示の件についての説明に移らさせていただきます。ここからは少し会計的な話をさせていただくことになります。米国の会計基準上、買収会社の資産および負債は時価評価をした上で取り込みます。これを開示文書の中では取得価格配分手続きというふうに称しておりますけれども、ここからは少し簡単に買収会計という呼び方にさせていただきたいと思います。 この買収会計は米国の会計基準上、買収の完了から1年以内に終了させるという必要性がございます。この買収会計の過程で取得価格が時価評価した純資産の額を上回る場合に、この差額をのれんとして取り込むということになります。この手続きにつきましては、今日お配りしました買収時点での開示の際にもご説明していることであります。 買収を完了した当時、すなわち昨年時点では、こののれんの額としては87ミリオンドル、当時のレートで105億円相当と見込んでおりまして、これも説明いたしました。しかし今般、申し上げましたような買収過程の会計の過程で、プロジェクト完成までに掛かる見積もりのコスト、これが当初の想定よりも大きいという可能性が認識されました。 原子力発電所は多種多様な設備や部品、さまざまな役務が非常な大きなボリュームで存在するということもございまして、その建設のための見積もりに当たりましては、継承しました資料やパラメーターの評価等も含めまして、膨大な作業を要します。現在もその各種資料、パラメーターを、精査を行ってるというところであります。 本来でございましたらこの場に当社会長の志賀や、原子力事業を所管する、エネルギーシステムソリューションカンパニー社長のロデリックがここに参りまして、説明をさせていただくべきところでございますけれども、今、まさにその申し上げた数字の精査のために両名も立ち会って現場で作業していると、アメリカで作業しているという状況でございます。 完成までの見積もりコスト、この大幅な増加の想定をしたということに至りました原因につきましては、先ほど申し上げましたように、原子力発電所建設の特性から多岐にわたりますが、コストに影響する主要な項目につきまして、なぜこれらの要素が増えたのか、これらの原因を1つ1つ明らかにして、そしてそれぞれに対応するあらゆる努力をしてまいる所存でございます。 今、申し上げました努力、これにつきましては鋭意進めてまいりますが、買収会計を閉じなければならない、締めなければならない、この現時点におきましては、ストーン・アンド・ウェブスターの資産価値、これは当初の想定を大幅に下回ると言わざるを得ず、その結果、必要な値をいったん、のれんとして計上するということになります。また、こののれん計上額そのものも現在、引き続き精査中でありますが、当初想定の87ミリオンドル、これを大幅に超えて、その増加額は現時点では数十億米ドル規模、日本円で数千億円規模となる可能性が出てまいりました。 のれんにつきましてはご案内のとおり、ウェスチングハウスおよび当社連結決算、すなわち第3四半期の決算で減損テストを実施いたします。その結果、一部または全部ののれんを減損するという可能性もございます。その場合にはウェスチングハウスおよび当社が損失を計上する可能性が出てまいります。なお、買収会計と減損テストはウェスチングハウスおよび当社にて実施し、そのあと会計監査人による監査を受けるということも予定しております。 本日はそのような数字を評価していると、途中段階であるということもございまして抽象的な金額しか申し上げられないということにつきましては大変申し訳なく存じますが、現在も鋭意、精査を継続しているというところでもございますので、何とぞご理解をお願いいたします。なお、併せて皆さまにおかれましては、本年8月12日、それから12月5日、運転資本調整に関するCB&Iとの訴訟についてというものを過去、ご案内してございます。これにつきましてもここで簡単に触れさせていただきたいと思います。 以前の開示資料につきましてはお手元に参考資料としてお配りしておりますので、併せてご覧いただければと思います。 この運転資本の調整というものにつきましては、今までご説明してまいりました買収会計とは異なる手続きであります。CB&I社との株式の取得契約において、運転資本のその調整というものに関するものです。 いったん株式の取得契約をまとめた際に、本件の買収におきましてはウェスチングハウスが一定の、所定の運転資本額を有する状態でストーン&ウェブスターを取得するということにしたものでした。当然ながら所定の数字をいったんは仮決めしたということでございますので、買収完了以降、この資本額を確認いたします。その結果、あらかじめ決まった額に満たない場合には、その不足の額をCB&I社がウェスチングハウスに支払う。あるいはその逆に、所定の額より多いという場合については、ウェスチングハウスのほうからCB&Iに対しまして超過額を支払うと。そういうような契約になっておりまして、その契約に基づいて進めているということの説明でありました。 契約上、この運転資本の調整の過程で争いが生じた場合は、独立した会計士の最終判断に従うと、そのような契約をしておったわけですが、CB&I社が差額の確定を会計士に委ねることをやめたいというような、その趣旨の訴訟を起こしたわけでございます。すでに今年の12月5日にご報告いたしましたとおり、裁判所はCB&Iの主張を棄却しております。 一方、CB&Iはこの決定に対して上訴しているというとこが今の状況でございますが、一方、独立会計士による差額の判断のプロセスは両社合意の下で並行して進んでおります。今後は裁判と会計士による手続きが並行して進んでいくということになりますけれども、これには時間がかかります。現時点で、まだ数字としてまとまっていないという状況でございます。 以上で私のほうから報告を終わらせていただきます。このたびはお客さま、株式の皆さま、お取引先の方々、その他、当社に関係する多くの方々にご心配をお掛けすることになりましたことをここにおわびいたします。また、併せて私どもの事業をしっかり進めてまいるということのために全力で取り組んでまいりますので、関係される皆さま方の引き続きのご支援、ご指導をお願い申し上げまして私からの説明を終わらせていただきます。今日はありがとうございました。 司会:当社からのご説明は以上でございます。これより皆さまからご質問をお受けしたいと思います。ご質問ございます方は挙手をいただきまして、私がご指名をさせていただきますので、係の者がマイクをお持ちいたしましたらば、ご所属、お名前をおっしゃっていただきましてご質問いただきますよう、ご協力お願いをいたします。それではいかがでしょうか。じゃあ前列のそちらの方。 【連載】経営再建中の東芝が損失計上の可能性について会見 全文2へ続く