経営再建中の東芝が損失計上の可能性(全文1)現時点では数千億円規模になる
米国CB&Iの子会社買収に伴いますのれん、および損失計上の可能性について
司会:続きまして本件の経緯を含めまして畠澤よりご説明を申し上げます。 畠澤:エネルギーシステムソリューション社の原子力事業を担当しております畠澤と申します。ただ今より米国CB&Iの子会社買収に伴いますのれん、および損失計上の可能性につきましてご説明いたします。まずは最初に当該会社の買収に介する経緯についてご説明いたします。昨年の10月28日になりますが、当社のグループ会社でありますウェスチングハウス社は米国の大手エンジニアリング会社、CB&I社の間で当社の子会社でございます原子力の建設と統合的なサービスを担当しております、CB&I ストーン・アンド・ウェブスター、これからはストーン・アンド・ウェブスターという呼び方をいたしますが、これを取得することに合意しまして、2015年の12月31日に買収を完了し、当該社を完全子会社化といたしました。現在この会社は米国4プラントの建設を担当しておりまして、2000億相当の売り上げの会社というふうになってございます。 この買収に至りました経緯につきまして、まずご説明いたしたいと思います。ウェスチングハウス社はストーン・アンド・ウェブスターとコンソーシアムを組みまして、米国でサザン電力のボーグ原子力発電所AP1000、2機、そしてスキャナ電力向けのVCサマー原子力発電所、同じくAP1000、2機の建設を進めておりました。 この当該の建設契約は、いずれも2008年の契約でございます。しかしながら、皆さんもご承知のようにさまざまなことがございまして、建設工事を進めていく過程の中で、お客さまと、サプライヤーである私どもコンソーシアムの間で、例えば規制の変更に伴うコストの負担、あるいは納期の変更等につきまして合意に至らないという事象が発生しておりました。これにつきましてはサザン電力との間では巨額の訴訟も継続しているという状況でございました。 また、コンソーシアムの中でも契約上のコストの負担等をめぐりまして不一致が発生しているという状況でございまして、各当事者のリソースが係争に至りかねないという状況でありまして、プラントの建設に集中できないという状態が存在しておりました。これが背景事情でございます。 このような事態を解決するために行われましたのが、本件買収でございます。ウェスチングハウス社とCB&I会社は本件買収の条件とし、買収の完了までに双方で抱えておりましたクレームを、お互いに免責するということに合意しました。また併せて本件の買収と並行しまして、お客さまとの間でも買収時点を境に互いに有するクレームを免責するという取り決めを行いまして、これによりまして先ほど課題としておりました状況を解消して、両社が建設に集中できるような、こういう体制をつくることを目指したわけであります。 ウェスチングハウス社はこの買収でストーン&ウェブスターの所掌を自らの下に取り込むということによりまして、米国プロジェクト全体の一元管理、遂行を行える、こういう推進体制を整えたわけであります。また併せてこのプロジェクトを完遂するというために、お客さまからは納期の延長、そして価額の増額というものもいただきまして、そういうことが買収に進んだ背景ということでございます。それ以降、ウェスチングハウス社は米エンジニアリング大手のフロアー社、こちらの支援も得まして現在まで新体制の中で、先ほど申し上げました2案件の建設を進めてまいりました。