【プレミア12】メジャーを知るドミニカの伝説のスカウトは侍ジャパンをどう見たのか?
次に、2022年から日本ハムに2シーズン所属したアリスメンディ・アルカンタラに尋ねた。 「いい持ち球を持っているね。制球力があり、アグレッシブにストライクゾーンを攻めてくる。投球術を熟知していて、スマートなピッチャーだと感じた。メジャーリーグでプレーするポテンシャルがあると思うよ」 ハンソン、アルカンタラともにMLBを経験した選手だ。今季のセ・リーグでリーグ4位タイの12勝(8敗)、同5位の防御率1.95、同2位のWHIP0.96を記録した戸郷は数年後にポスティングでのメジャー入りが噂されるが、海を渡っても十分に通用するとふたりの目には映っていた。 この日はMLBのスカウトもスピードガンを持ち、スタンドで鋭い目を光らせていた。彼らにとって、日本人選手を直接視察できる国際大会の意味合いは大きい。 【日本はチャンピオンになるはずだ】 対して、選手たちにとってもアピールの場になる。現在FAのアルカンタラは大会後、ドミニカに帰国してエストレージャスでウインターリーグに参戦する予定だ。休みなくプレーし続けることになるが、何食わぬ顔で話した。 「たまには疲れることもあるけど、1、2週間オフをとれば問題ない。逆にプレーし続けなければ、俺はレイジー(怠け者)になってしまうからね(笑)」 一方、ハンソンはドミニカやベネズエラ、メキシコのウインターリーグ球団からオファーを受けており、最もいい条件のチームでプレーするつもりだという。 「オレは今、人気者なんだ(笑)」 現在はFAで、来季は日本か韓国でプレーしたいと望んでいる。 「日本でプレーした頃、選手たちは毎日強度の高い練習を繰り返し、試合に向けて準備万全に整えていた。日々、自分を向上させようとする姿勢は俺も好きだよ。今回のプレミア12でもすばらしいチームだった。日本はチャンピオンになるはずだ」
かたや、アルカンタラも来季の所属先を探しているなか、日本のファンとの交流に背中を押されていると話す。 「日本では文化、プレー環境が少し異なるが、チームの一員として俺のことを受け入れてくれた。今日も清宮(幸太郎)、五十幡(亮汰)、北山(亘基)、コーチだった金子(誠)さんと再会できてうれしかったよ。特に金子さんは父親のような存在で、日本にいるときはいろいろ助けてくれたんだ。日本のファンは今もSNSを通じてメッセージを送ってくれて、応援してくれるからうれしいよ。日々、もっと成長しようと思わせてくれる」 日本に敗れた試合後、ドミニカのクラブハウスでは長めのミーティングが行なわれ、今大会で国を代表して戦えた誇り、そして野球を通じてすばらしい時間をすごせた幸せを分かち合っていた。 MLBで40人枠の選手は出場しないプレミア12だが、ショーケースのような意味合いもあれば、国家を代表してプレーできることに喜びを感じている者たちもいる。試合後、アルカンタラとハンソンが見せた幸せそうな笑みは、大会の意義を物語っていた。
中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke