船上から楽しむ瀬戸内海の歴史と多島美 「しまのわ」も21日開幕
点在する大小の島々、歴史的遺跡。瀬戸内海は、平清盛の時代など古来から交通の要衝であったと同時に美しい多島美や歴史的な遺跡が残っている。こうした魅力を再発見してもらうおうと、瀬戸内海を隔てて隣り合う広島県と愛媛県が連携し、3月21日から「瀬戸内しまのわ2014」という取り組みがスタート。10月26日までの7か月にわたり、瀬戸内海や島々にスポットを当ててさまざまな催しが行われる。 しまのわ事業と並行して、いろいろな事業体による企画が進んでいる。そのうちのひとつが、松山市や広島市などの行政と船会社、JRなどでつくる「瀬戸内・松山ツーリズム推進会議」が主体で行う「瀬戸内海テーマクルーズ」だ。今回、そのモニターツアーに同行した。
多島美を船で味わう
同協議会がJTBと協力して企画したツアーは2つある。一つは、「あの時の『瀬戸内海・大和』クルーズ」で、かつて戦艦「大和」を生んだ呉海軍工廠(こうしょう)があった広島・呉港を出発し、戦艦「陸奥」が沈んだ柱島沖や陸奥記念館、そして愛媛・松山観光港までを客船でめぐる。もう一つは、「瀬戸内海パワースポットクルーズ」で、大山祇(おおやまずみ)神社の巨大クスノキや厳島神社など瀬戸内海のパワースポットをめぐるツアーだ。
狙いは、客船を使った洋上クルーズを通じて、陸地からでは十分に伝わらない瀬戸内海の多島美の魅力を味わってもらうこと。瀬戸内しまなみ海道などの橋の開通によって船便が減少したことから、船による旅行の楽しさも提案する。また、瀬戸内海には世界文化遺産の宮島のほか、かつて呉が日本一の軍港だったことで戦争関連の史跡も数多くある。そうした歴史もこのクルーズで体感してもらう。
大和ミュージアムからスタート
参加したツアーは「あの時の『瀬戸内海・大和』クルーズ」。まずは呉が生み出した戦艦「大和」の歴史科学館「大和ミュージアム」から始まる。 館内に入って目を奪われるのが、全長26.3メートルの10分の1スケールの大和だ。これは設計図や写真などを基に詳細に再現されたもの。実際の大和は全長263メートル、幅38.9メートルの世界最大の戦艦だった。ボランティアガイドが解説してくれる。大和は当時の「造船技術の結晶」で、46センチ3連装の主砲は世界最大で計9門あった。射程距離は42キロメートルで、呉からだと岩国のあたりまで90秒で飛ぶ計算だという。また全艦冷暖房完備でトイレも水洗だったそうだ。