夏の雪辱を果たした岡山学芸館、作陽学園に逆転勝利で4連覇達成!!:岡山
[11.2 高校選手権岡山県予選決勝 岡山学芸館高 2-1 作陽学園高 シティライトスタジアム] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権岡山県予選決勝が11月2日に行われ、岡山学芸館高と作陽学園高が対戦。6月のインターハイ(全国高校総体)予選決勝の再戦は、そのとき敗れている岡山学芸館が2-1で勝利し、4年連続7回目の出場を果たした。 この日の岡山地方は朝から強い雨が降り続き、試合開始が当初の12時5分から13時30分に変更。開始時にタイミング良く雨はやんだものの、ピッチの芝生がたっぷりと水を含んでいることもあり、立ち上がりから両チームともリスクを避けて前線にロングボールを蹴り合う展開が続いた。 一進一退の攻防が続く中で前半24分(40分ハーフ)、先にスコアを動かしたのは作陽学園だった。左サイドでのインターセプトからDF松本歩希(3年)とFW久城壮司(3年)のドリブルでボールを前に運ぶと、久城のパスからFW岡慶太(2年)がファーサイドへセンタリング。走り込んでいたFW大西卓磨(3年)が、相手DFの背後から右足で合わせてネットを揺らした。 岡山学芸館は失点直後の25分、FW堀口友聖(2年)に代えてFW香西健心(3年)を投入して反撃を試みるが、作陽学園守備陣の的確な対応の前に、なかなか良い形を作れない。32分には右CKをFW太田修次郎(3年)がヘッドで合わせたが、作陽学園GK工藤未来(3年)が好セーブ。岡山学芸館の前半のシュートはこの1本のみで、作陽学園が1-0とリードしてハーフタイムを迎えた。 後半になるとピッチの水が引いてコンディションが良くなり、両チームともパスやドリブルを効果的に繰り出すようになる。そうするうちに岡山学芸館が徐々に敵陣で試合を進める時間を増やすと、10分に同点ゴール。DF岡田拓也(3年)のロングスローを作陽学園守備陣が空中戦ではね返した浮き球を、落下点にいたMF吉岡大和(1年)がヘッドで前に送ると、密集の背後でフリーとなっていた太田が右足ボレーで合わせて蹴り込んだ。 これで息を吹き返した岡山学芸館は14分、右サイドで得たFKを中央に送ると、作陽学園の守備陣がはね返したボールが、エリア外左サイドにいた岡田の元へ。胸トラップから落ち際を右足ボレーで振り抜くと、鮮やかな弾道のボールがファーサイドのネットに突き刺さった。 高原良明監督が「もともと攻撃の選手なのでシュートのミートはうまい」と評するものの、「ロングスローではチャンスを作れると思っていましたが、まさか逆転ゴールとは」と驚く一撃。本人が「来た、と思って胸トラップして、相手が来ていたので思い切り打った」と振り返る逆転ゴールで一気に試合をひっくり返した。 作陽学園は17分、途中出場のFW吉田央(3年)が右サイドのタッチライン際で相手のボールを奪い、エリア外に出ていた岡山学芸館GK都竹晋弘(3年)の頭上を破るシュートを放ったが、わずかに左に外れる。34分にはロングスローのこぼれ球がファーサイドに流れ、松本がヘッドで狙ったが上に外れた。 さらに作陽学園は後半アディショナルタイムの40+1分、この試合初めてのCKを得ると、GK工藤もゴール前まで上がってゴールを狙ったが、岡山学芸館は最後まで決定機を作らせず、そのまま1点差で逃げ切った。 インターハイ予選決勝では延長の末に1-0で競り勝っていた作陽学園は、返り討ちと4年ぶりの選手権出場を目指したが、わずかに及ばず。酒井貴政監督は「後半に相手のロングスローとセットプレーが増えてしまった」と振り返った。 県内最多24回の出場を誇るが、選手権の舞台からは長く遠ざかることに。現在の岡山県は岡山学芸館に加え、就実高、玉野光南高、創志学園高などライバル校がひしめき合う群雄割拠の時代となっており、酒井監督も「そこで勝ち切るのは難しいと改めて感じた」と語ったが、それでも「やっていかなければいけない」と捲土重来を誓った。 岡山学芸館は先制される苦しい展開を強いられたが、確かなチーム力を証明する逆転勝利。インターハイ予選決勝で敗れた作陽学園に雪辱を果たし、選手権の出場権は譲らなかった。 今年度は無敗でプリンスリーグ中国優勝を決めており、選手権でも2年ぶりの全国制覇を見据える。2年前の初制覇時の1年生が3年生になり、「いままで先輩が連れて行ってくれた全国の舞台に、自分たちの代でも後輩を連れていったのは、よく頑張った成果」と称えた高原監督は、「一つひとつですが、まずはベスト4まで勝ち上がって、国立競技場のピッチに立ちたい。これから鍛えて、全国で一つでも多く勝てるように準備したい」と決意を新たにしていた。 (取材・文 石倉利英)