AIで好奇心を刺激し、「検索」を進化させるパープレキシティ
ChatGPTやClaudeなどの生成AI(人工知能)チャットボットが、中長期的にビジネスシーンを変えるとの期待がある。だが草創期のいま、「ハルシネーション(幻覚:事実とは異なる情報を生成する現象)」も報告されており、決定的な用途については手探りの状態が続いている。 そうしたなか、2024年7月25日にChatGPTの開発元Open AI(オープンAI)が、AI搭載型検索エンジンの試作品「SearchGPT」の開発を発表。寡占状態の検索エンジン市場に風穴を開けることを期待されてか、大きな話題を呼び、市場も大きく反応した。 ところが、そのオープンAIに先んじて、検索型の生成AIサービスを提供しているスタートアップがある。「Perplexity AI(パープレキシティAI)」だ。同社は2022年、オープンAIやグーグル傘下のAI企業「DeepMind(ディープマインド)」で開発経験をもつ研究者と、Databricks(データブリックス)の共同創業者らが立ち上げ、社名を冠したAI搭載型検索エンジン「パープレキシティ」を発表。出典を明示する、リアルタイム検索で精度の高い回答が好評を得ている。 2024年1月には、半導体大手NVIDIAや、アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス、グーグルのチーフサイエンティストであるジェフ・ディーン、オープンAI共同創業者のアンドレイ・カルパシー、メタ(旧フェイスブック)のチーフサイエンティストであるヤン・ルカンを含む投資家グループから評価額5億2000万ドルで7360万ドルを調達。6月には、ソフトバンクとの提携も発表されている。 その一方で、2024年6月に米Forbesのペイウォール記事(有料記事)をはじめ、CNBCやブルームバーグなど複数のニュースサイトの記事を「盗用」し、ワイアードの記事を断りなくスクレイピングした疑惑でも注目を集めている(編集部註:Forbesは、パープレキシティAIの著作権侵害を非難する停止通告書を送付したが、同社は、「事実は盗用されえない」と反論している)。 期待の声と批判が相半ばするなか、6月下旬、Forbes JAPANはパープレキシティAIの共同創業者兼CEOであるアラビンド・スリニバス、そして同社・最高ビジネス責任者(CBO)のドミトリー・シェヴェレンコと話す機会を得た。パープレキシティAIが考える「検索エンジン」の次に来る潮流とは? 同社が考える、Forbes記事の「盗用」疑惑の論点とは。人類とAIを本質的に分かつものとは──。注目のAI起業家とのロングインタビューをお届けしたい。