中国株は大幅上昇 アジア・マーケット動向の振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
中国<マクロ経済動向>
⇒政府が景気支援に前進 ◆弱い需要が続く 9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は5ヵ月連続で50割れとなった。需要不足が続いており、需要の代理変数である「新規受注」は5ヵ月連続で50割れとなった。需要低迷を受けてサービス業PMIは2023年12月以来の50割れとなり、非製造業PMIは50.0へ低下した。 ◆低インフレが続く 8月の消費者物価は前年同月比+0.6%と、大雨など悪天候による食料品インフレの加速を受けて、7月からやや加速した。一方、コアインフレ率は同+0.3%と、7月の同+0.4%から鈍化した。食料品インフレの加速は供給面による一時的な要因が背景とみるが、コアインフレの鈍化は需要不足という需要面の構造的な要因を背景にしていると考える。9月も悪天候による食料品インフレの加速は続きそうであるが、コアインフレは下振れリスクに直面しているとみる。 ◆政府が景気支援策を強化 国務院(政府)は9月24日記者会見を行い、中国人民銀行の潘功勝総裁など金融規制当局のトップが出席し、金融緩和を中心とした景気支援策を発表した。具体的には、政策金利の引き下げ(0.2ポイント)、中期貸出ファシリティ(MLF)金利の引き下げ(0.3ポイント)、預金準備率の引き下げ(0.5ポイント)、既存住宅ローン金利の引き下げ(0.5ポイント)、中古住宅の頭金比率の引き下げ(0.1ポイント)、株式市場・不動産市場双方への流動性供与などである。その後、党指導部は9月26日、党中央政治局会議を開催し、9月の会議には珍しく経済問題について議論した。同会議は景気下振れリスクを認識した上で、金融・財政政策を強化する必要性を主張しており、景気支援の姿勢は明確に強化された。同日、ロイターは、財政部が年内に消費刺激、地方政府の債務問題取り組みのために2兆元の特別国債の発行を検討とのニュースを報道したが、政府からは正式な発表はなく、現時点では財政政策は既存の枠組みで考慮する必要があり、成長率押し上げに関する明確な証拠はない。 石井 康之 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフリサーチストラテジスト ※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。 ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国株は大幅上昇 アジア・マーケット動向の振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント】』を参照)。
石井 康之,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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