タフな選手を守れ!40年超の利用で初 リーグワン九州が初の芝生全面改修 奔走した元選手のタフな人生と挑戦
ラグビーのNTTリーグワンが21日開幕し、2部(D2)の九州電力(九州)はベスト電器スタジアム(福岡市)で釜石との初戦に臨む。 ■「ラガーマンの車って感じですね」福岡堅樹さんが新車紹介【写真】 昨季初昇格した2部で6チーム5位だった九州は、1部(D1)との入れ替え戦に進出できる2位以上が目標。「BE TOUGHER」をスローガンに掲げ、堅守を武器にタフな戦いに身を置くチームを会社も支えようと40年以上利用している練習場の芝生が初めて全面改修された。 チームによると、練習拠点の九州電力香椎競技場(福岡市東区)は1980年に完成。90年代に一度張り替えたが、その後は大がかりな改修はなかったという。九州電力がトップ九州Aリーグに所属していた際は公式戦も行われていた。しかし近年は特に冬芝が成育せずに土がむき出しになる部分も多く、現場からは故障の原因になるとして数年雨から全面改修の要望が上がっていた。 2010年まで選手として主にCTBを務め、昨夏チームマネジャーに就任した松添健吉さん(47)は「張り替え自体がなかったにしては、よくもった方だった」と振り返る。19年のラグビー・ワールドカップ(W杯)で会場になった「えがお健康スタジアム」(熊本市)や、サッカーJ3ギラヴァンツ北九州の練習拠点「新門司球技場」(北九州市)の芝生を整備した実績がある業者に相談。限られた予算の中で、芝生をほぐしてまき、根付かせる「まき芝工法」を今年4月から実施。11月に改修を終え、開幕に間に合わせた。
改修完了、大はしゃぎ
今村友基ヘッドコーチは「芝生がしっかり根付いているので、ハードな練習をしても芝がはげることがない。でこぼこだったので不要なけがをすることが多かったから、11月に(改修された)グラウンドが使えるようになった日のはしゃぎぶりはすごかった」と感謝する。松添さんは「練習場が使えない間に利用させてくれた(福岡市の)JAPANBASEや東福岡高にも感謝しています」と頭を下げた。 長崎北陽台高や明大、九州電力で活躍した松添さんは引退後、資材調達の部署などに配属され「時には撤去した鉄塔の鉄も売った」と、さまざまな経験を通じて関係各所と調整するノウハウを身につけた。選手の約3分の2を占める選手の就業時間の調整や、試合前の食事の改善、設備の更新などチームからの要望は多い。「限られた環境でみんな頑張ってくれている。チームが最大限求めている価値にたどりつくため、いろんな方法を使えば良い」と「BE TOUGHER」の精神で強化に努めていく。(末継智章)