50歳山本昌は引退か現役続行か
「1試合投げた試合は、22球で降板したが、その1イニングは、ボールに角度があり、ヤクルト打線が体感として、昌の腕の振りに幻惑され、ボールを速く感じ変化球のキレに戸惑っていた。あれなら十分に5、6回投げてゲームを作ることできる。肘の位置、リリースの位置を工夫していたが、その成果が出ていた。怪我は肩肘でなく指だったし、春先にやった膝の怪我には、テーピングの仕方などに原因があったようで、致命傷となる故障ではなく、肉体の限界は見えていません。彼自身がそうも言っています」と与田氏。 ヤクルト戦では初回に畠山の犠飛で1点を失ったが、比屋根と、雄平を伝家の宝刀のスクリューボールで三振に斬って取っていた。130キロ台のストレートの打者の体感に速く感じさせ、落ちるボールで翻弄するという山本昌らしさは健在だった。 与田氏は、「今年も昌と話をする機会が何度かあったが、必ず口をつくのが『もう一度、優勝したい』という言葉。自分の子供のような年齢の選手に混じって一緒のメニューもこなすし、王様的なベテランにありがちな利己的な部分を感じさせません」とも言う。 山本昌は、春季キャンプ中に取材で訪れた同期で友人の古田敦也に頼んで、若手捕手へのクリニックをお願いするなど、育成、継承という面も意識して行っている。 「プロ野球は、プロと名がつく以上興行です。山本昌が投げることで、お客さんが増える、メディアの露出が増えるなら、その付加価値も球団として評価すべき点でしょう。また50歳を越える山本昌が今なお現役でプレーを続けていることは、その理由や哲学も含めて野球界だけにとどまらず社会現象としても捉えられています。 スポーツは結果がすべてですが、そのプロセスがクローズアップされることで、野球の発展というものにもつながっていくでしょう。彼が結果を出せば、さらに大きな社会現象、渦となることは間違いありません。そういう山本昌の価値を考えるならば、肉体も健康、しかもプロの1軍レベルも維持しているならば、引退という選択肢はもったいないのではないでしょうか」 与田氏の言う通り、昨年オフもインタビューに山本昌は、ひっぱりだこだったし、今年になって、書籍も2冊新たに刊行されている。