今後は中小企業の賃上げが重要になる ホンダとマツダが24年春闘で満額回答
経済アナリストのジョセフ・クラフトが2月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2024年春闘でのホンダとマツダの満額回答について解説した。
2024年の春闘、ホンダとマツダが早くも満額回答 ~賃上げ最高水準に
2024年の春闘で、自動車大手の労働組合の要求を踏まえた経営側との交渉が2月21日に始まり、ホンダとマツダは両者ともに満額回答した。ホンダの労働組合は総額で月額2万円の賃上げ、一方マツダも労働組合が要求していた総額で月額1万6000円の賃上げに対し、満額回答だった。 飯田)また業界最大手のトヨタ自動車は、初回協議での回答を見送りました。
トヨタが調達価格を引き上げ
クラフト)予想の範囲内の展開です。企業業績が好調で、これだけインフレ圧力もあるため、企業側も早めに合意したのでしょう。ただ、注目すべきは中小企業、つまり自動車業界の下請け企業の賃上げです。ホンダ、マツダの賃上げ以外に重要なニュースとして、19日にトヨタが1次仕入れ先からの部材の調達価格を23年下期から引き上げると明らかにしました。そうなれば中小企業が潤うので、そちらに焦点を当てるべきではないでしょうか。 飯田)支払いの適正化や、下請け会社の人件費を請求額に乗せられるようにする。 クラフト)エネルギーや光熱費についても一定程度、考慮していくのはいい動きだと思います。
中小企業も底上げすることが重要
飯田)岸田政権も公正取引委員会を使ってガイドラインを出していますよね? クラフト)政府主導というより、民間でそういう動きを見せ、それが正しく行われているかどうかを政府が監視する。そういう体制があるので、引き続き見ていく必要があります。毎年ベースアップしていくことが大事です。そして重要なのが、中小企業も底上げするということです。そういう動きのスタート地点として見た方がいいかも知れません。
1~3月期の反動で4~6月期の経済動向が重要
飯田)一方で月例経済報告を見ていると、少し表現が後退していますよね? クラフト)1~3月期は能登半島地震の他、ダイハツ等の自動車スキャンダルで製造が止まっていますので、一時的に下がるのは目に見えている。それを意識した文言なのですが、むしろ政府が注視しているのは、4月以降の賃上げと減税です。これによって、どこまで消費が上がるかが大事なので、1~3月期よりも4~6月期の経済動向の方が重要になります。 飯田)1~3月期はGDPも下がる可能性がありますか? クラフト)ほぼ3期連続のマイナスは織り込むべきだと思います。それよりも、反動で4~6月期がどう上がるかが重要です。