今後は中小企業の賃上げが重要になる ホンダとマツダが24年春闘で満額回答
マイナス金利を解除しても、すぐに利上げすることはない
飯田)マーケットでは金融政策も変わるのではないかと言われていますが、いかがですか? クラフト)少なくとも今回のGDP、そして1~3月期のGDPで日銀の金融政策が変わることはないと思います。日銀も当然、4月以降の経済を注視していくでしょう。マイナス金利の解除は、緩和政策を維持しながら、ある意味で異常だった状況をより正常に近付けていくためですので、GDPで一喜一憂するものではないと思います。 飯田)既定路線で進めていく。 クラフト)ただ、日銀の内田副総裁や植田総裁も言ったように、マイナス金利を解除したあと、どんどん利上げしていくようなことはないと思います。
今後は中小企業の賃上げが重要になる
飯田)政権としては賃上げや減税を行い、「景気を上げれば支持率も上がる」と思っているのでしょうか? クラフト)逆の言い方をすると、これで景気が上がらなかったら岸田政権は本当に厳しい状況に立たされます。政権にとっても重要な動向です。中国経済、アメリカ経済の動向も大きく影響しますから、それらを見ながら、ある程度の消費改善を期待しています。 飯田)10~12月期のGDP速報値を見ても、やはり内需がなかなか上がりませんね。 クラフト)実質賃金がマイナスなので、家計の消費が弱い。ホンダ、マツダのニュースもそうですが、賃金が上がるのは4月以降です。4月から年末に向けて一定程度、実質収入が上がれば、いい展開になっていくと思います。1年だけではダメですから、毎年インフレと同じくらいの賃上げが必要になります。そういう意味では、日本の雇用の7割を占める中小企業の賃上げが重要になってきます。
インフレに粘着性があり、マイナス金利を解除しても早期の利上げには踏み切れない日銀
飯田)企業物価などを見ると、物価の見通しはマイナス圏まできています。 クラフト)財の物価は確実に下がっていると思います。ほぼ0に近いぐらいですが、問題はサービスです。いい面と悪い面があって、サービス価格が上がっているということは、賃金が上がっているということです。ある意味そこはいいのですが、逆に悪い意味では粘着性があり、インフレの減速がそれほど早くない。日銀はおそらくマイナス金利を解除しても、早期の利上げには踏み切れないと思います。