聴取率トップ返り咲きを狙うSTVラジオ、春の大改編を実施
北海道の“ラジオの常識”覆す
その中でSTVラジオの今回の改編は、北海道におけるラジオの常識を大きく覆すものでした。ポイントは3つあります。 (1)日本の最長寿深夜番組「アタックヤング」終了 1970(昭和45)年から続いてきた午前0時からの1時間枠「アタックヤング」(月~木、年度により金・土・日もあり)が終了、社内外から大きな反響があったといいます。 「松山千春さん、KANさん、山崎まさよしさんら、多くのパーソナリティを輩出した番組ではありますが、いつまでも過去の栄光にしがみついているわけにはいかないと思い終了することにしました。そして新たに午後9時以降の番組をティーンズ向けに編成し、STVラジオの新しい形を打ち出しました」(大西さん) (2)「午前8時30分」でワイド番組が切り替わる ワイド番組は、正時に切り替わるのが一般的な北海道のラジオにおいて、「午前8時30分」という一見中途半端な時間帯で番組が変わります。 「今までは9時で番組が変わっていたのですが、聴取率調査を検証した結果、8時30分に『人の動き』が明らかに変わっていたことがわかりました。この『人の動き』に合わせて番組を編成することで、リスナーの生活スタイルにより近づけると思い編成しました」(大西さん) (3)「正午またぎ」の平日ワイド番組 これまで「正午」という時間は「ラジオにおけるゴールデンタイム」という位置づけがなされていて、平日は必ず「正午」スタートの番組が編成されていました。今回の改編では、10時から続いている番組が13時まで続くという編成になっています。 「これは『8時30分』とは逆の発想なのですが、東京のラジオでは、正午に生活スタイルが変わるリスナーにチャンネルを変えてほしくないという理由で、正午またぎの番組が編成されているんです。それを北海道でやってみようと思い、この編成にしました」(大西さん)
このように、4月から大胆な新編成で臨むSTVラジオ。「このタイムテーブルを編成するだけでなく、ここからどれだけ立体的な仕掛けができるかがこれからの勝負だと思っています。かなりびっくりする改編かもしれませんが、実は聴取率トップを初めて取ったときの編成(1985年)とベースはほとんど変わっていません。当時の編成方針を、現代版に変えたという表現が正しいかもしれません」と大西社長。 この大改編が実を結ぶかどうかは、「若いディレクターが先に動き出し、ベテランディレクターが後を追いかけている」という制作現場の、今後の番組作りにかかっています。ちなみに北海道のラジオ聴取率調査は年1回、今年は12月に予定されています。 (ライター・橋場了吾)