大泉洋、堤真一、長尾謙杜が熱気あふれるアクションを展開! 『室町無頼』現場レポート
◆入江監督と京都の職人たちの情熱&技が融合! 室町時代へとタイムスリップ
入江悠監督が、直木賞作家である垣根涼介の同名小説を映画化する『室町無頼』。大飢饉と疫病が襲いかかった混沌の室町を舞台に、巨大な権力に戦いを挑んだアウトローたちの姿を描く本作は、ド迫力かつ、登場人物の生き様を見事に映し出したドラマチックな展開と、大迫力のアクションも大きな見どころだ。クランクイン!では、東映京都撮影所で行われたクライマックスの撮影現場に潜入。主人公の兵衛として、50歳にして本格的な殺陣に初挑戦した大泉洋をはじめ、兵衛のもとで成長を遂げていく才蔵役の長尾謙杜(なにわ男子)、兵衛とは悪友にして宿敵という間柄にある道賢役の堤真一といった豪華キャスト陣が立ち向かった、三者三様の熱気あふれるアクションを目撃した。 【写真】高難易度のアクションに挑戦するなにわ男子・長尾謙杜 物語の舞台は、「応仁の乱」前夜の京。民が飢え、貧しくなる一方、時の権力者は享楽の日々を過ごすばかり。京とその周辺の悲惨な状況、民の怒りや悲しみを目にしていた兵衛は、ひそかに倒幕と世直しを画策していた。天涯孤独だった才蔵を鍛え、個性たっぷりのアウトローを束ねた兵衛はいよいよ巨大な権力に向けて大暴動を仕掛けるが、道賢率いる幕府軍が立ちはだかる。兵衛は実在する人物で、日本史上初めて武士階級として一揆を起こし、歴史書に一度だけその名を留めている男だという。 現場を訪れたのは、2023年11月。肌寒くなってきた季節の京都撮影所には、680坪(約2250平方メートル)にもわたる広大なオープンセットが建てられていた。群衆を率いた兵衛が一揆を起こす御所前の通りを再現したもので、1ヵ月半をかけて建築された。この日はオープンセットを使用して、兵衛たちと道賢ら幕府軍が真正面から激突し、死闘を繰り広げるクライマックスの撮影が行われていた。 室町はこれまで映画やドラマでもあまり描かれたことのない、未知なる時代。雨が降らず乾き切った混沌の室町をスクリーンに刻みつける――。そこで入江監督がイメージしたのは、広大な砂漠でド派手なアクションが炸裂する『マッドマックス』のような世界だ。撮影現場ではスタッフが“はったい粉”という粉を送風機で吹き続け、砂塵の舞う光景を表現。暗黒時代の雰囲気をたたえた戦場に降り立ち、大泉や長尾、堤をはじめ、その中で泥や砂まみれになって、命を燃やしながら戦う姿にはムンムンとした本物の熱気があふれかえっていた。横たわる死体、戦いが激しくなるごとに増えていく血の跡もリアリティがあり、あちこちから湧き起こる雄叫びを耳にしているとこちらまで時代の波に巻き込まれているような感覚を味わえた。 本作の企画は2016年に始動したものの、コロナ禍に突入したことで撮影延期を繰り返した。入江監督は「文献も読みつつ、中世の研究者の方々にも取材をさせていただきながら室町時代について調べていきました」と、延期期間も利用しながら徹底的な調査を重ねて撮影に臨んだ。連続ドラマW『ふたがしら』で京都撮影所を経験していたが、入江監督にとって時代劇映画は本作が初めてのこと。「東映の映画を観て育って、東映の映画、しかも時代劇を作れることは僕にとって大きな喜びでした。京都の撮影所に来た時には『ようやく撮れる。ここまで来たんだ』と実感しました」としみじみ。時代劇の技と経験を培った京都撮影所との仕事が、入江監督にとって最高に幸せな時間になっている様子だ。製作発表会見で大泉は「スケール感に身を任せていれば、兵衛になれるんじゃないかと思った」と語るなど、入江監督と京都の職人たちが情熱を注いで作り上げた舞台があったからこそ、思い切り躍動できたという。