大泉洋、堤真一、長尾謙杜が熱気あふれるアクションを展開! 『室町無頼』現場レポート
◆大泉洋と堤真一の一騎打ち、長尾謙杜のワンカットアクション…満身創痍の激突にシビれる
大泉、堤、長尾が挑んだアクションは、見ているこちらもシビれるような瞬間ばかり! 剣の達人で、いつの間にか周囲を惹きつけてしまう兵衛をハマり役として演じた大泉だが、『探偵はBARにいる』シリーズでも大泉とタッグを組んできた企画・プロデュースの須藤泰司は「大泉洋史上最高にカッコいい男を演じてほしい」という口説き文句で、大泉に兵衛役を託したという。 大泉が「自分の命というものはどこか諦めていても、他の人のために何とかこの状況を変えてやる。そういう覚悟みたいなものを、胸の中に強く持って演じていました」と語るように、兵衛は誰かのために立ち上がる人だ。飄々としていながら、仲間たちの想いを背負って必死に戦う兵衛は、その言葉通り最高にカッコいい。大泉はリアルな立ち回りを追求し、自主練にも励みながらアクションに挑んだ。「アクションが多い」とぼやきながらも、須藤プロデューサーによると「一生懸命に頑張っているところを見られたくないから、殺陣の練習も『見ないでください』と言っていた」そう。見えないところで努力をしつつバシッと決めてしまうのは大泉のすごいところ。その上達ぶりにはアクション監督も「感動した!」と涙していたそうだが、満身創痍の50代の挑戦、大泉の新境地をぜひ確かめてほしい。 御所前のクライマックスの場面では、兵衛と道賢の一騎打ちのシーンもある。両手に刀をもった“二刀流”で、道賢に向かっていく兵衛。体当たりでそれを受け止める道賢。ガチン!と刀が震えるほど強くぶつかり合う2人の視線には、志は同じであるにも関わらず、歩み方が違うゆえ敵同士となってしまった男たちの特別な絆が見えるよう。大泉は「一対一の撮影でも本当に迫力があって、がむしゃらにくらいついていきました」と堤のさすがのアクションに惚れ惚れ。堤も「洋ちゃんの立ち回りはすごかった」と称えていた。以前から交流のある大泉と堤は、撮影が延期される中でも「この企画は絶対に実現させたい」と別現場でも語り合っていたそうで、そんな彼らの思いに背中を押されていたという入江監督が急遽、大泉と堤による一騎打ちのシーンを書き加えたという背景もアツい。 堤が戦闘着として身につけている衣装は、本物の鉄の鎖帷子から転用して制作されたものでかなりの重さがあるという。堤は「それを着て立ち回りをしなければならなかったので、腰を痛めました」と笑顔を見せながら、「でも、リアルな迫力は出ていると思います!」とキッパリ。黒ずくめの着物に迫力のオーラをみなぎらせた演技はすさまじく、遠くから見学していてもカリスマとしての存在感は抜群だった。堤は、道賢としてのアクションについて「スピード感のある殺陣というよりは、大きく見せることだけを大事にしていました。太刀筋がきれいに行くように、波を打たないように。大きく、大きくメリハリのある動きを意識していました」とこだわりを口にしていた。 ベテラン勢がズラリと顔をそろえた中、京都撮影所に乗り込んだのが長尾だ。棒を武器にした珍しいアクションにトライしており、撮影現場でも常に棒を手にして馴染ませるようにしていたのが印象的だ。クライマックスでは長尾に、ワンカットでの高難易度アクションが用意されていた。棒で次々と現れる敵を倒しながら、ぐんぐん屋根を越えていくという様子を一連で演じなければいけないのだ。ワイヤーをつけた長尾は高くジャンプをして屋根に飛び乗り、敵と対峙。ワイヤーが棒に絡まってしまったり、傾斜のある屋根をのぼるために足を滑らせてしまったりと、悪戦苦闘を重ねた。その中でも「お願いします!」と元気な声を響かせ、何度もくらいついていく長尾の気迫や集中力には目を見張るものがあった。入江監督から「OK!」の声がかかった際にはスタッフから大きな拍手が沸き起こり、長尾も「ありがとうございます!」と目を輝かせていた。 撮影の合間に長尾はニコニコとした笑顔を絶やさずに会話を弾ませるなど、京都撮影所の職人たちからも愛されている様子が伝わってきた。スタッフに支えられたと感謝しつつ「京都撮影所のソフトクリーム」も元気の源だったのだとか。入江監督は、ひたむきに成長していく才蔵&長尾の姿がぴたりと重なるようだったと証言していたが、長尾は「これまでの作品の中で一番大変だったかもしれないです。高所から飛んだり、ワイヤー使ったり」と苦労もありながら、「毎日が楽しかった」とにっこり。いろいろな役をやった中でも「大泉さん同様、僕の中でも多分、史上一番カッコいいんじゃないかな」と役柄に愛情を傾け、「キャストの皆さんも刺激になって、より自分を引っ張りあげてくれるような人たちばかりで、いい経験でした。自分自身『もっと頑張らないと』、『より高みを目指さないとな』と思わせてくれる作品でした」、「根性がついた」と転機となる作品だと語っていた。俳優、長尾謙杜の勇姿は本作の要となっている。