【F1】角田裕毅は周囲が騒ぐ「レッドブル昇格」の声も我関せず「僕の頭は今やるべきことでいっぱい」
【マシンが左右にフラつく原因は?】 レース後車検で最低重量違反が判明して失格になったとはいえ、ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)が1ストップ作戦で大逆転のトップフィニッシュを決めたことを考えれば、この作戦は決して間違いではなかった。フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)も1ストップ作戦を選び、中団トップの8位入賞を果たしている。 角田に足りなかったのは、1ストップ作戦で得られるフリーエア状態を生かしきるだけの速さだ。 「マシンに違和感がありましたし、けっこう(挙動に)バラツキがあるクルマだなと感じました。コーナリング中のマシンバランスがおかしかったので、何か問題があったことは間違いないと思います。 ブレーキも明らかに問題がありましたけど、それだけではないはずです。エンジニアからも『何か問題があるけど、このあとのエンジニアミーティングで見せるよ』ということだったので。問題があったのは確かなんだと思います」 レース序盤から角田は、ブレーキング時にマシンが左右にフラつく問題を訴えており、それはブレーキ温度管理の問題だったと思われる。それだけでなく、金曜から抱えていた挙動の不安定さの問題もあり、ドライバーとしてプッシュしたくてもしきれないマシンになってしまっていた。 もしかすると、前戦ハンガリーGPの予選で交換したスペアのモノコックに微細な問題があったのかもしれない。速度域の低いハンガロリンクでは問題にならなくても、速度域の高いスパ・フランコルシャンではそれが顕著に出てきた可能性もある。 いずれにしても、3週間の夏休みを挟んでオランダGPから始まるシーズン後半戦に、この状態のマシンで臨むわけにはいかない。 「まずは自分のクルマを直したいです。それが一番ですね。これだけタイトな中団グループの争いのなかで、こういうことは許されない。後半戦に向けて、もっともっと厳しい戦いになっていくと思うので、こういうことをなくしていかなければいけないと思っています」
レッドブルのセルジオ・ペレス不調による昇格話や、RBの残る1席をめぐる動向など周囲の雑音が騒がしくなるなか、角田は自分が今やるべきことだけに集中している。 「ここ1カ月ほど、いろんな雑音が多くなってきていますけど、僕の頭は自分のやるべきことですでにいっぱいなので、全然気にしてはいないです。自分がやるべきことに集中して、自分を改善して、夏休みに入るだけです」
米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
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